<<第2回>>
誰もが「老後資金」を楽にためられないかなぁと考えるでしょう。現在は銀行にお金を預けていても増えない時代です。では、どのようにしたらいいのかについて考察するための短期集中連載です。
今回の連載は、実際に資金を運用している鈴木一郎先生にご登場いただだき、自身の考え、経験についてご紹介いただいています。
「リスクを最小化する運用方法」である
「米国株レバレッジ動的最小分散」推しの鈴木一郎です。
前回ご説明したように動的最小分散とは、米国株のインデックスS&P500の3倍の値動きをする「SPXL」と米長期国債の3倍動く「TMF」という二つのETFをうまく組み合わせることで、S&P500を遥かに「アウトパフォーム」する株運用を狙う方法のことです。
問題は、この「うまく組み合わせる」とは具体的にはどういう方法なのか、ということですが、名前にもあるように、分散が最小になるような組み合わせで運用をしていきます。
分散とは、株で言うところのいわゆるリスク(標準偏差)の二乗に当たる量です。
それを最小化するというわけですから「リスクを最小化する運用方法」と言っても構わないと思います。
最小分散の頭にさらに「動的」という言葉がついていますが、これはリバランスを煩雑に動的に行っていくため、このような名前がついています。
普通のアセットですと年に1、2度くらいのリバランス頻度かと思いますが、動的最小分散法では、分散が最小になるよう毎月のようにリバランスを行い動的に値動きのコントロールしていきます。
上記グラフは、米株インデックスS&P500と20年超の米国債を、レバレッジを掛けずにそのまま最小分散法を使って、1986年から2020年まで運用してみた場合の値動き(青色)を表しています。
赤色の線は、比較のために並べてみた同期間のS&P500の値動きです。
最小分散法の平均利回りは10.02%。S&P500の10.55には少し劣りますが、34年間で25倍にも成長しました。
より注目してほしいのは、とにかく単純な右肩上りの平らな直線状の値動きになっていることです。
ほとんどどこにもへこみがないのでS&P500のグラフと重ねてみない限り、ITバブルの崩壊(2000年前後)やリーマンショック(2008年前後)といった株価の大暴落がいつ起きていたのか、その暴落の跡すら読み取れないと思います。
「分散が最小」になる比率が必要!
利回りはインデックスとそれほど変わらないのに、「株で一番恐ろしい大暴落時にも暴落せず淡々と右肩上がりのまま! これは楽でいいわ!」と思ったのが、自分が最小分散法による投資を始めるきっかけとなりました(しかし実際は、3倍レバを掛けると値動きがこれよりかなり激しくなり、話はそう簡単ではないことが後で分かりました。ここらは次回、ご説明したいと思います)。
あとは、分散が最小になるETFの比率を、どう決めるのかということになります。
具体的には、SPXLとTMFの過去20日間の値動きのデータを元にして、両者を何%の比率で持っていたら最も値動きが小さくなっていたか、という最小の値動きだった比率を計算で求めます。
そして、その後の1カ月間も、同じ比率で持てば値動きはそのまま最も小さくなるであろうと仮定し、その比率になるよう月末にリバランスを行っていく、というのが動的最小分散法です。
統計的に言うと「共分散」といった、やや専門的な統計量の計算が必要となりますが、自分で計算をしなくても、以下の「ポートフォリオ・ビジュアライザー」というウエブサービスを使えば、自動で最小分散の比率を計算し出してくれます。
実は上記のグラフも、ここのサービスを使ってグラフ化したものでした。
ただ数カ月前から、最新の最小分散の値は、ここの有料サービスに入らないと見えないように変更されてしまいました。
しかし、その月の最小分散の値を計算して出してくれているブログやツイッターが、日本に複数あるので探してみてください。
次回は、実際に動的最小分散法で今年ETFを運用してみたら、どうなったか。
特に誰もが予想しなかった新コロナによる大暴落が起きてどういう目に遭ったのかを、具体的にご説明したいと思います。
人生倍々か、それともこのままグットバイバイか、それは相場の先行き次第!
とりあえず、では来週までバイバイ!
(第3回に続きます)
※本稿の情報は、投資判断の参考として投資一般に関する情報提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資に関する最終的な決定は、利用者ご自身の判断で行うようお願いいたします。また、投資の結果について、本稿執筆者、『Money1』は一切の責任を負いません。