またしても「あるのかないのか分からない状態」になるかもしれない「中韓通貨スワップ」ですが、2017年にも「延長されるのか?」と注視されていました。
当時のニュースで面白いものがあります。
元々はCCTVの報道で「この件で韓国は日米に見捨てられた!中国に熱いまなざしを送っている」(韩国同美日货币互换协议均已中止 正眼巴巴望着中国)というタイトルです。
2017年10月12日付けなので、「中韓通貨スワップ」は10月10日に失効したはずで、何の発表もない、という状況下での記事です。
注目ポイントを以下に引用します。
10日午前0時、中韓通貨スワップ協定が失効した。 しかし、協定が更新されるのか結論は出ていません。
10月09日に『聯合ニュース』が報じたところによると、『韓国銀行』と企画財政部は、中韓通貨スワップ協定の更新交渉に関連した状況を「当面公表することは適切ではない」と述べたという。
(後略)⇒参照・引用元:『網易』「韩国同美日货币互换协议均已中止 正眼巴巴望着中国」(原文・中国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
中国メディアなのに、韓国側のニュースソース(『聯合ニュース』)で交渉の話を伝えているのがヘンですし、更新交渉について『韓国銀行』・韓国政府「企画財政部」の「当面公表することは適切ではない」というのも相当ヘンです。
「なぜ公表できないの?」という思わない人はいないでしょう。
(前略)
韓国が心配なのは、中国より先に日米韓の通貨スワップ協定が停止していることだ。「韓国の経済外交は立ち止まっている」「韓国の経済外交はナイフの刃先まで行ってしまった」と韓国の『東亜日報』は09日報じ、「米中が力を頼りに、経済規模の小さい韓国に直接・間接的な圧力をかけている」と付け加えた。
(後略)
ここが記事タイトルにもなっている「日米に見捨てられた!」の部分です。「米中が力を頼りに、経済規模の小さい韓国に直接・間接的な圧力をかけている」は、被害妄想気味の表現でしょう。
さらに以下の韓国についての分析。
(前略)
韓国の外貨準備高は現在、過去最高の3,848億4,000万ドルと主張しているが、安心はできない。合衆国連邦準備制度理事会(FRB)が先のバランスシート縮小を発表し、北朝鮮の核危機が激化する中、韓国の国内金融市場は大規模な資本逃避の影響を受けやすい。
通貨スワップ協定は、為替市場の不安定化に対する予防的な保護装置であり、韓国が「経済リスク」を管理できることを強く示すものだ。
国内経済が減速し、北朝鮮の核リスクが残る中、合衆国・中国の経済対立が激化すれば、韓国経済は年末までに大きな負担を強いられることが予想される。
(後略)
非常に的確な分析でしょう。特に「安心はできない」の部分が素晴らしいです。かつて韓国は外貨準備についてウソをついていて「フタを開けたらなかった」ことがありますので。
つまり、この中韓通貨スワップは「韓国にとっては必要なものである」と解説しています。以下のように韓国ネチズンの反応すら紹介しているほどです。
ちょっと意地悪ですね。で、中国の中韓通貨スワップに対する態度ですが……このCCTVの記事は締めが強烈です。
(前略)
中国の対外貿易や金融交流にとって、韓国は確かに非常に重要だが、それは分子で、重要な要素の一つに過ぎない。現在、中国は世界最大の貿易国となっている。
中国の外貨準備高は3兆1,000億ドル以上と8カ月連続で成長しており、人民元も国際通貨基金の通貨バスケット(SDR)に参加しているのだ。
中国は、任意の分子を無視していないが、韓国も中国の分母がどんどん大きくなっているのを理解しなければならない。
「中国にとっては韓国は分子の一つに過ぎない。中国の分母は大きいのだから、韓国はそれを理解しないといけないよ」と――なんといいますか、まあ子供に言い聞かせるような物言いです。
中国にとっては別に韓国との「通貨スワップ」はなくてもいいということでしょう。奇遇ですね、実は日本にとってもそうなのです。
ただ、現在合衆国との対立が深まっていますので、中国は韓国を自陣営につなぎ止めるための道具ぐらいには考えているかもしれません。
(松田ステンレス@dcp)