先にMoney1でも紹介しましたが、かねて話のあった音楽ストリーミング配信企業『Spotify(スポティファイ)』が、04月03日、NYSE(ニューヨーク証券取引所)にダイレクト・リスティングを果たしました。
ダイレクト・リスティング(direct listing)は直接上場と訳され、IPO(Initial Public Offeringの略:新規株式公開)に通常必要とされる手続きを飛ばして、いきなり市場に上場する方法です。
チャートのように、初日は昼過ぎまで値が付きませんでした。午後になってようやく初値「168.50ドル」が付き、そこからは下落。終値は「149.01ドル」でした(チャートは『Bloomberg』から引用)。
音楽ストリーミングでその名を世界に知られた企業としては、異例ともいうべき盛り上がらない上場でした。
理由の第一は、「すでに株式を保有している株主」がNYSEで売りに出さないと※一般投資家が購入できないためです。
※ソニーが保有していたスポティファイ株の一部を売却し「1,050億円」を得たことが発表されています。
通常のIPOでは、新規に上場する株式を証券会社に割り振り、これを市場で売りに出すのですが、このダイレクト・リスティングではそんなものはありません。また、なにせブック・ビルディングも行っていませんので、投資家がいくらで買いそうなのかも分からないわけです。さらに、既存の株主から市場で売りに出された株式が多くならないことには、流動性も確保できません。
証券会社もアナリストも「初値はいくらになるんだろう」と注目していたことでしょう。
と記事を書いている間に上場2日目の市場が開きました。始値は「140.00ドル」ですので、前日の終値から「9.01ドル」下がってスタートです。さて、この異例の上場、吉だったでしょうか? それとも凶だったでしょうか!?
(柏ケミカル@dcp)