一般に「手取金(てどりきん)」は、「額面」などではなく「手元に残る正味のお金」という意味で使われます。商売っ気の旺盛な人(?)がよく使う「真水(まみず)」という言葉は、意味的には「手取金」に近いかもしれません。
「手取金」という言葉は、IPO(Initial Public Offeringの略:新規公開株)や自社株買いなどのニュースによく登場します。この場合の手取金は、株式の「発行価格」「発行価額」についての知識がないと理解できないかもしれません。
例えば、ゲーム企業『満天堂』がIPOをかける場合を考えてみましょう。この新規株式上場を『盆暗証券』が引受人になったとします。
盆暗証券は、株式の「発行価格」を決めて、投資家から資金を募ります。例えば「発行価格:2,000円」で10万株だとすると、「2,000円×10万株 = 2億円」が引受人に入ります。
一方で、引受人の盆暗証券は満天堂と「発行価額」を決めておきます。これは1株当たりにいくら、株式の発行人である満天堂にお金を支払うかという金額です。
例えば、「発行価額:1,500円」だとすると「1,500円×10万株 = 1億5,000万円」が満天堂に支払う総額になります。
つまり、株式の引受人である盆暗証券は、
(発行価格:2,000円 – 発行価額:1,500円) × 10万株 = 5,000万円
が入ります。これが証券会社が受け取った手取金です。また、この新株発行で株式の発行人がいくら入手したかも手取金と表現します。この例では、満天堂が実際に受け取った金額が手取金です。
つまり、IPOでいわれる「手取金」とは、株式の発行人がそのIPOで実際に受け取る金額、引受人が実際に受け取る金額を指しているのです。また、日本では新株発行の際に、「手取金」をどのような目的に使用するのか、その必要性や相当性について証券取引所が審査(実質的には審査相当と考えられる)を行っています。
(柏ケミカル@dcp)