「まあ、そうなりますよね」という話です。
アメリカ合衆国が政策金利を引き上げており、その影響が韓国で大きなものとなっています(まだ始まったばかりなのですが)。
合衆国で政策金利が上がれば、資金流出を避けるために韓国の規準金利を上げざるを得ません。規準金利が上がれば、当然資金を借りる際の利率も上がります。
資金調達が難しくなってきたのです。
コロナ禍での経済低迷に対抗するため、韓国の金融当局はお金をじゃぶじゃぶまく金融緩和を続けてきました。この最中は金利も安く、お金も借りやすかったのですが、金利上昇局面になるとそうはいきません。
借りる方からすれば利払い金額が増えるので、これまでのようにホイホイ「融資してください」とはいえなくなります。
すでに韓国には企業が資金調達の困難に直面しだした兆候が現れています。
2022年05月に社債を発行予定だった『SKマテリアルズ』『ハンファソリューション』『斗山重工業』という有力企業が、計画を延期、保留しました。
『金融投資協会』によれば、2022年04月07~05月06日の直近1カ月での社債発行額は「8兆7,045億ウォン」。前年同期は「15兆7,215億ウォン」なので、なんと「44.6%」も減少しています。
では、企業の資金ニーズがないのか?というとそんなことはないのです。
金利が上昇している社債を避けて、(CP(Commercial Paper:約束手形の一種)に流れているのが一つ。同じく『金融投資協会』によれば、05月04日時点でのCP発行残高は「214兆4,761億ウォン」。
前年同期比で「15.7%増加」ですので、決して資金ニーズが弱いわけではないことが分かります。ただ、上掲のとおり金利上昇によって社債による資金調達に二の足を踏んでいるとすれば、資金調達が小さくなり「設備投資」に響いてきます。
設備投資が萎縮すればGDP、経済成長に悪影響を及ぼします。
もう一つ、株式による資金調達を見てみると……。
こちらは、韓国株式市場が低迷しているのが原因ですが、IPO(新規株式公開)の動きがぱったり止まりました。例えば、造船大手の『現代三湖重工業』は本年中にIPOをかけるつもりだったのですが、2024年まで2年延期とのこと。
韓国株式市場の市況が好転しなければ、IPOに二の足を踏む企業が増えそうです。
 
 
――というわけで、金利の急騰で韓国企業の資金調達が難しく、企業自身が二の足を踏む状況になってきました。株式市況も良くありません。景気は悪くなる方向に動いております。
(吉田ハンチング@dcp)