06月21日、『Bloomberg』に面白い記事が掲載されました。ムニューシン財務長官が経済政策の説明をせず、USTR(Office of the United States Trade Representativeの略:通商代表部)のライトハザー代表、NTC(National Trade Councilの略:国家通商会議)代表のナバロ委員長に任せているというのです。
中国などとの貿易戦争を突き進むトランプ大統領の方針に、本心では従いたくないため、またホワイトハウス内での対立を表に出したくないため、苦肉の策で黙っているというのです。
そもそもスティーブン・ムニューシン(Steven Terner Mnuchin)という人は、金融畑出身の人です。ゴールドマン・サックスに入社し(ちなみに父親のロバート・E・マヌーチンも同社勤務)、非常に優秀だった(4,000万ドルもの純資産を稼いだとされています)ため1994年には同社の共同経営者にまでなった人物です。
トランプ大統領がまだ事業家だったころに、トランプさんの事業に投資したこともありますし、トランプさんから訴えられたこともあります(和解に至りましたけれども)。
そこで沈黙の理由ですが、上記のような「ホワイトハウスの和」のためではないとメディアの一部では推測されています。
金融畑のスペシャリストとして経歴がありますので、トランプ大統領と一緒に突き進んで「自分の評価に傷を付けたくないのではないか」と。後になって、「あのバカだったトランプ政権であいつは貿易戦争を主導したんだぜ」なんて言われるのはまっぴらゴメン、というわけです。
トランプ政権が終了するときがきたら、ムニューシンさんも金融業界に戻る可能性があります。そのときのために黙っているのかもしれません。もしそうだとしたら、あまり男らしい態度とはいえないのではないでしょうか。沈黙は金。確かにそうですが、その金は保身を意味しているのですから。
(柏ケミカル@dcp)