韓国の文在寅大統領は、クリーンエネルギー政策を掲げて、太陽光発電・風力発電の増設にまい進しています。一方で原子力発電所を敵視し、新設の停止・廃炉作業を進めているのです。
売上・輸出共に激減!
韓国メディア『毎日経済』に、文大統領就任前の2016年と2019年で比較して韓国の原発産業がいかに衰退したのかを示すデータが掲載されましたのでこれをご紹介します。
同記事の基になったのは「科学技術情報通信部」の依頼を受けて『韓国原子力産業協会』が制作した「2019年度 原子力産業実態調査」というリポートです。
以下をご覧ください。
2016年 | 2019年 | |
売上高 | 27兆4,513億ウォン | 20兆4,513億ウォン |
輸出額 | 1億2,641万ドル | 2,144万ドル |
売上高は「27兆4,513億ウォン」(約2兆7,177億円)から「20兆4,513億ウォン」(約2兆247億円)まで「25.5%」下落。
輸出に至っては「1億2,641万ドル」(約139億1,395万円)から「2,144万ドル」(約23億5,990万円)に「83.0%」も下落しました。
米韓の原発同盟は大丈夫か?
問題は、先の米韓首脳会談の成果として「米韓原発協力」が成ったとして、これから世界での原子力発電所の建設にアメリカ合衆国と韓国が協力して当たる――と標榜している点です。
例えば、韓国メディア『ハンギョレ(日本語版)』には、この両国の協力について「【ニュース分析】『脱原発』でも原発輸出? 韓米原発協力をめぐる4つの疑問」という記事が出ています。
そもそも文大統領は脱原発を標榜していたのに、輸出ならするのか?など疑問を呈した記事ですが、弱体化した原発関連企業に合衆国と伍していくだけの力が残っているのかが問題です。
文大統領のクリーンエネルギー政策によって建造予定だった原子力発電所が白紙撤回され、韓国の原発産業は傾きました。上掲のデータは2019年のものですが、2020年には、韓国原発産業の一角を担ってきた『斗山重工業』が飛びそうになったぐらいです(以下の記事を参照してください)。
2020年にはさらに韓国の原発産業は弱体化が進んだと思われます。
今回のデータからは、韓国の原発産業は売上が縮小しており、ということは人材も減少していることが窺(うかが)えます(売上・利益が縮小すると雇用を維持できないので)。実際、2020年には原発産業の人材流出がメディアでも取り上げられました。
果たしてこれで合衆国と一緒に世界各地での原発推進などが可能なのでしょうか。非常に懸念されます。
(吉田ハンチング@dcp)