巨額債務で倒れる予測の『恒大集団』に救いの手?やはり「大きすぎて潰せない」のか

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Money1では何度もご紹介している「宇宙一の不動産屋」(正確には不動産ディベロッパーですけれども)こと中国『恒大集団』。

負債総額は1兆9,507億元(約33兆2,984億円)もあり、『恒大集団』が飛ぶと、連鎖倒産の波が広がって甚大なことになります。

金融機関が同社への資金提供を絞っており、まさにいつ飛ぶのかという状況だったのですが、ここにきて救いの手が差し伸べられるのでは?という観測が出ています。

以下は『恒大集団』の貸借対照表(2020年末時点)

総資産:2兆3,012億元(39兆2,984億円)
総負債:1兆9,507億元(33兆2,984億円)
純資産:3,504億元(5兆9,813億円)

⇒データ引用元:『恒大集団』「2020年 年報」

2021年08月10日、『恒大集団』は香港取引所を通じて、潜在的な投資家と資産の一部の売却などの問題を話し合うと発表しました(以下が『恒大集団』によるプレスリリース)。

(前略)
当社は、当社の上場子会社である『China Evergrande New Energy Vehicle Group Limited』 (708.HK)および『Evergrande Property Group Limited (6666.HK)』の一部の持分の処分を含む、これに限定されない当社の特定の資産の処分を検討するために、複数の潜在的な独立した第三者投資家にアプローチしていることを、当社グループの株主および投資家の皆さまにお知らせしたいと思います。

本発表の時点では、具体的な計画や正式な契約は確定しておらず、締結もされていません。
(後略)

⇒参照・引用元:『恒大集団』公式サイト「投資家向け広報」

具体的な計画、また潜在的な投資家が何者であるのかといった詳細は不明ながら、『恒大集団』が流動性危機から抜け出せるのではないか、という期待から同社の株価は反発しました。

以下をご覧ください。

2021年08月11日、『Reuters(ロイター)』は、6,000億ドル(約66兆4,680億円)の資産を持つ深セン市の資産運用会社が『恒大集団』のホワイトナイトになる可能性がある、という記事(以下)を出しています。

⇒参照・引用元:『Reuters』「Evergrande’s hometown hero is rich and generous」

『恒大集団』はこれまで3,000億元の納税を行っており、寄附金も195億元を寄付。スタッフの総数は20万人で、直接・間接的に380万人の雇用を生み出しています。さらに、深セン市だけで55の都市再開発事業を進行中です。

『恒大集団』が飛ぶと地方経済に与える衝撃が甚大なものになるので、なんとか防がないといけない。そのため、公的機関もお金を出すのではないかという予測なわけです。

まさに「大而不倒」(大きすぎて潰せない)を地でいく話ですが、『恒大集団』を本当に救うかはまだ分かりません。

『恒大集団』の債権は「ジャンク債」評価になっている!

08月05日には世界的な格付け会社『S&P』は、『恒大集団』とその子会社『恒大地産集団(HengdaReal EstateGroup)』と『天基(Tianji Holding)』の格付けを「B-」から「CCC」に下げました。

簡単にいえば「債務者は現時点で脆弱」という評価です。

また、『天基』のドル建て債を長期格付けを「CCC+」から「CCC-」に下げました。こちらも「当該債務の履行について現時点で不確実性が高い」と投資不適格です。

格付け会社『Moody’s(ムーディーズ)』『Fitch(フィッチ)』も同様の措置を取っています。

企業清算のための準備を始めたか?

このように信用格付け会社が評価を下げたのは、中国で広がったニュースも影響しています。

中国では『恒大集団』がお金を返せ・支払えと裁判を起こされているのですが、異なる2つの弁護士事務所が裁判所から「『恒大集団』に対する訴訟は広州中級人民法院に一本化する」という通知を受け取ったのです。

これは大変に悪い兆候です。

というのは、『恒大集団』は多くの子会社を抱えていますので、あちこちで裁判を起こされ、各地で判決が確定した場合、その資産が小分けになってしまいます。これでは、実際に破綻が起きたとき、資産の回収が行えない可能性があります。

つまり、大きく一本化して処理し、『恒大集団』グループ全体に残った資産を回収できるスキームを司法が採用したと考えられるのです。

簡単にいえば、訴訟窓口を集約して同社の資産管理の窓口を一元化したわけです。いうまでもありませんが、これは中国共産党が企業清算のための準備を始めたと取れる動きです。
 
 
というわけですので、『恒大集団』の債務問題はまたドタバタしております。本当に救いの手がさしのべられるのかどうか分かりません。

2021年になって、中国共産党当局も「大企業だから潰せない」とは考えなくなったふしがあります。『恒大集団』の先行きにご注目ください。

(吉田ハンチング@dcp)

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