冒頭でお断りしておきますが筆者が言っているのではありません。韓国メディアが言っているのです。
韓国自動車が世界最大の中国市場で確実にシェアを落としているという件は幾度もご紹介していますが、「なぜ韓国自動車が中国で売れなくなったのか」について韓国メディア『朝鮮日報』が興味深い記事を出していますのでご紹介します。
以下に記事の一部を引用します。
(前略)
中国で最も売れている「準中型セダン」市場で『現代自動車』の「エラントラ」(韓国名アバンテ)は10位圏に入っていない。この車の現地販売価格をウォンに換算すれば約1,840万~2,500万ウォンだが、日本の同級セダンのトヨタ「カローラ」(2,060万~2,560万ウォン)と大きな差は出ない。
最近中国市場で人気を得ているSUV価格は現代「ツーソン」(3,480万~4,230万ウォン)がトヨタ「ワイルドランダー」(3,220万~4,250万ウォン)やホンダ「CR-V」(3180万~4340万ウォン)より最低価格がむしろ高い。
チョ・チョル産業研究院先任研究委員は「中国の消費者は『ドイツ系・日本系』を合わせて高級車に分類する」とし「価格に大きな差がないからブランドプレミアムのある車を選ぶ」と話した。
中古車の価格が低いのも消費者が現代車を外面する大きな理由だ。
「ソナタ」の3年目中古車価格は、新車の価格の50%だが、トヨタ「カムリ」は78%、ホンダ「アコード」は75%だ。
現代車に精通したある関係者は「中国で現代車は発売後6カ月が経過すると割引販売するという認識が固まっている」と話した。
(後略)
中国の消費者にはドイツ車・日本車は高級車と認識されており、『現代自動車』のクルマが同じ価格帯で販売されているなら、「ドイツ車・日本車を選ぶ」と説明しています。
裏を返せば、韓国自動車は、言葉は悪いですが「安物」と見られているということです。
次に続く中古車販売価格の低さも、そのような認識があることを裏付けています。日本でも高級車ほど値引きしてくれません。つまり、市場価値が中古になっても落ちにくいわけです。
端的にいって、韓国自動車には「ブランド価値がない」ということになります。これが中国市場でシェアを落としている根本的な理由です。
だからこそ低価格を売りにした中国企業の自動車にシェアを削られていくのです。
しかし、この「安物扱いされていること」「ブランド価値がないこと」は、韓国企業のこれまでの売り方にも問題があったのです。上記の「発売から6カ月たつと割り引き販売する」というのもその例です。
また同記事の写真のキャプションに面白いことが書いてあります。以下に引用します。
(前略)
タクシーで大量に普及し、低価格のイメージトラップに中国北京のある道路に停車している現代「アバンテ」(中国モデル名「エラントラ」)タクシー。
『現代自動車』の「ソナタ」と「アバンテ」は2005年前後に北京市タクシー標準に選定され、かつて北京タクシーの半分以上を占めた。
そのため、これまで中国で現代車は「タクシー車」というイメージから脱皮できずにいる。
(後略)
タクシーに採用されると販売数が多くなりますので、韓国企業はそれを狙ったのですが今になっては、タクシー用というイメージがついてしまい、かつての販売プランが徒(あだ)となっているという話です。
かつて韓国企業は、アメリカ合衆国でも「レンタカー屋に大量に納入する」という販売プランを推進したことがあります。筆者も昔、合衆国に出張してレンタカーで韓国車に当たったことがあります。レンタカー屋のお兄ちゃんは「安いからね」と言っていました。
シェアを伸ばすにはいい計画だったのでしょうが、このようなプランがいい結果をもたらすとは限らないというわけです。
韓国では『現代自動車』『起亜自動車』が中国に再進出だと大声を出していますが、やはり「いい物をつくって認知される」以外に勝つ方法はないのではないでしょうか。
「電気自動車で攻略」「高級車市場を狙う」という戦略と称するもの自体が浅薄に見えます。
(吉田ハンチング@dcp)