韓国造船業界の雄『サムスン重工業』にとってはLNP運搬船受注ラッシュよりもこちらの方がうれしいかもしれません。
Money1の長いお付き合いを賜わっている読者の皆さまはご存じでしょうが、『サムスン重工業』はドリルシップの在庫を4隻も抱えております。ドリルシップというのは、海底を掘削するための特殊船。
このような特殊船は受注生産で、そんなものの在庫がある自体がおかしいのですが、その辺りの事情はMoney1の過去記事をご覧いただくことにして、この在庫は『サムスン重工業』の業績の足を引っ張ってきました。
受注を決めても決めても赤字な上に、この特殊船の在庫が棚にあるので損失を計上しなければならなかったのです。それが、やっとはけるかもしれません。
本件を報じた『毎日経済』の記事から一部を以下に引用します。
『サムスン重工業』がドリルシップ(原油掘削船)最大4隻をプライベートエクイティ(PEF)に売却する案を推進中だ。取引価格は1兆ウォン前後になると予想される。
(中略)
『サムスン重工業』は一隻当たり数千億ウォンのドリルシップ在庫による損害を貸倒引当金に反映してきた。維持・保守費用も一隻当たり毎年100億ウォン以上要る。これに伴い、ドリルシップは『サムスン重工業』が数年間赤字を出す主原因と指摘されてきた。『サムスン重工業』は連結基準2020年1兆541億ウォン、昨年1兆3120億ウォンの営業損失を記録した。
今回、売却が成立しそうなのは原油価格が高騰しており、新たな油田を掘削しようという機運が高まっていることを背景としています。この機会を逃すとまたいつ好機が訪れるか分かりませんので、『サムスン重工業』としてはなんとしても売りつけたいところです。
どうなったか分かったらまた記事にいたします。
「ドリルシップの在庫が全部はけたー! ヒャッホーイ!」になりますかどうか……ぜひお楽しみに。Money1編集部も本当に楽しみにしております。
(吉田ハンチング@dcp)