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韓国与党が「米韓通貨スワップ」について無茶苦茶な説明。「文在寅のせいだ」

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政権を取った韓国『国民の力』から、前与党『共に民主党』を非難したいためでしょう、「通貨スワップ」絡みで無茶苦茶な説明を行いました。

米韓の「通貨スワップ」(アメリカ合衆国側の呼称はドル流動性スワップ)が2021年12月末で終了したのは、文在寅政権下で合衆国との関係が悪くなったからだというのです。

文政権が米韓関係を悪化させたので通貨スワップは終わった

2022年07月12日、成一鍾(ソン・イルジョン)政策委員会議長は『KBS』のラジオ番組に出演して、

「2008年の国際金融危機(韓国通貨危機:筆者注)当時、米韓通貨スワップを締結したことで韓国に投資している多くの外国人が『韓国はドルの心配をもうしなくなるだろう』『通貨危機は来ないだろう』と思ったが、文在寅政府になって韓米関係が悪くなって終了し、これは国家的な損失となった」

と述べました。

成議長は、韓国の通貨危機時にドル流動性スワップ(韓国側呼称は「通貨スワップ」)が締結されたのは米韓関係が良かったから、2021年12月末に(2020年03月19日に臨時的に締結された)ドル流動性スワップが終了したのは、米韓関係が悪かったから――としたいようです。

二国間関係の良好さが支援する・しないに関係することはあるかもしれません。しかし、合衆国は合衆国(連銀は連銀)の論理で動いています。

2008年の韓国通貨危機の場合には、韓国から泣きつかれたというのもありますが、リーマンショックで資金がマーケットから抜けたため、流動性を高めないといけないという動機がありました。そもそもが合衆国発の衝撃でしたが、流動性を供給して世界経済(要するに合衆国経済)の毀損を最小限にとどめる必要があったのです。

はっきり言えば、韓国を支援することは流動性拡大の一環でした。そのために、2007~2009年の金融危機時には、

オーストラリア
ブラジル
韓国
メキシコ
シンガポール
スウェーデン
デンマーク
ノルウェー
ニュージーランド

9カ国の中央銀行と臨時でドル流動性スワップを締結したのです。韓国は血盟で支援してもらえたと思っているかもしれませんが、それは勘違いです。

ドルの流動性を高めないと自身も危なかったから

2022年03月19日に急遽『FRB』(Federal Reserve Boardの略:連邦準備制度理事会)が公表した臨時のドル流動性スワップ締結も同じです。

このときはコロナ禍の中、世界的にドルが枯渇。このままでは合衆国経済も毀損されるという危機感の中で、ドル流動性スワップを上掲と同じ9カ国の中央銀行と締結したのです。ドルの流動性を提供しなければ……という崖っぷちでした。

特に韓国が優遇されたわけではありませんし、韓国と仲が良かったためでもありません。むしろ、反米の文在寅大統領が仕切っていましたので、仲は悪かったといえます。

それでも『FRB』は『韓国銀行』とドル流動性スワップを締結しました。世界的にドルの流動性を提供しないと合衆国自身が困ったことになったからです。

また、2008年、2020年のドル流動性スワップが終わったのは、ドルの流動性を提供する必要がなくなったからです。連銀が「もう不要」と判断したので、終わっただけのこと。もともと臨時の契約でしたので終わるのが当然なのです。

合衆国と仲が悪い文在寅大統領のせいで終わったのではありません。そうであれば、そもそも2020年に締結もしなかったはずです。

合衆国(の連銀)は、徹頭徹尾自分たちの論理で動いているので、韓国がどのように思っているのかなどは関係がないのです。

成議長がどれほど経済に理解のある方なのかは分かりませんが、少なくとも「米韓関係が良かったから締結できた」「米韓関係が悪くなったので契約が終了した」というのは間違った考え方でしょう。

文在寅前大統領を非難したいために行っているとしか見えません。

文在寅という人が本当はどんなことを行っていたかは、これからドンドン表に出てくるでしょうが、少なくとも、2021年12月末にドル流動性スワップが終わったのは、文在寅さんのせいではありません。

(柏ケミカル@dcp)

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