中国は元安進行を恐れている「元安は問題ない」

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2023年05月20日、中国の英語版御用新聞『Global Times』が興味深い記事を上げています。人民元安方向に進行していることの火消しです。

ドル元チャートを見てみると以下のように推移しています。まずオンショア(チャートは『Investing.com』より引用:以下同/日足)。

2023年初頭にダブルボトムを作って元安方向に進行し、ダブルトップとなって頭打ち。ネックライン付近をヨコヨコで推移しますが、直近10日でさらに上昇に転じ、ダブルトップの最高値さいたかねを抜きました。

面白いのは、19日の値動きです。上掲のとおり、ギャップアップで始まりましたが長い陰線になっています。終値は「1ドル=7.0060元

次にオフショア。

動きは基本同じですが、オフショア人民元では、19日のギャップアップがなく、ほぼ前日終値から始まって、その日の終値は「1ドル=7.0240元」でした。陰線で、元安を抑え込んでいますが、ボラティリティーの高い日でした。

ここのところの元安について、『Global Times』がどう書いているのか、記事から一部を以下に引用してみます。

(前略)
専門家は、人民元が最近1ドル=7元を超えて下落したにもかかわらず、為替レートは合理的な範囲内で変動し、弾力的であると予想しています。

彼らは、中国経済の強化やアメリカ合衆国の利上げ中止の可能性といった好材料が為替レートをさらにサポートするとして、下落傾向は過渡的なものだと考えている。

中国の中央銀行は金曜日、人民元の公式中値基準を1ドル=7.0356とし、2022年12月05日以来の通貨安水準とした。

これは、水曜日にオンショアとオフショアの人民元がともに5カ月ぶりに1ドル=7元を超えて弱くなったことを受けたものです。

オフショア人民元は7.0458を記録し、オンショア人民元も金曜日の午後に1米ドル=7.0305まで弱くなった。

専門家は、センチメントを過度に誇張する必要はなく、重要な7指標を突破したからといって、急激な元安の継続を意味するものではないとし、最近の変動は一部の海外メディアが主張するように、元に対する市場の信頼性を損なうものではないと付け加えた。

人民元は対ドルで象徴的な指標である「7」を何度か突破した後、立ち直っている。
(後略)

⇒参照・引用元:『Global Times』「China’s yuan to maintain a reasonable range against the US dollar following short-term fluctuations:experts」

ポイントは、御用新聞の『Global Times』がわざわざこんな記事を出した意味です。

『Global Times』の役目は中国共産党が言いたいことを代弁・強弁することです。「大丈夫」と強弁する理由は「効いている」と考えていいでしょう。

中国は完全無欠の為替操作国です。レートを決めてそこで落ち着かせるために当局が管理していますが、元安方向への進行を阻止するためにはドルが必要です。本来であれば、通貨アタックの格好の標的なのですが、不思議なことに中国は耐えています。

中国当局は元安進行を恐れています。

(柏ケミカル@dcp)

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