2020年、中国はコロナ騒動、洪水、イナゴ害、台風と災害の当たり年です。
そのため農作物の収穫がいいわけがなく、実体こそ表面に現れていないものの「食糧危機」が発生するのではないか(すでに始まっているのではないか)という推測が出ています。
「食糧危機への備え」を示唆する中国共産党の動き
日本でも報じられた、習近平総書記による「食べ残しはもってのほか」という指導、「10人の客で食堂に入ったら9人分の注文をしよう」「一皿減らしましょう」(「N-1運動」湖北省、河南省、江蘇省など)などのスローガンが出ることなどはその兆候であるといわれます。
日本ではあまり知られていませんが、実は最近以下のような動きもあったのです。
2020年09月15日、中国共産党国務院総局から「農業用の耕作地を断固として維持する」として、農耕用地を非農業の用途で使うことの禁止などを盛り込んだ通知文書を地方政府に出しています。
この中では「耕作地は食料生産の重要な基盤である。14億人の食糧問題を解決するには、耕作地の基盤を維持しなければならない」と
強調されています。
このような文書が出る背景には、中国の秋の穀物収穫の70%を占める吉林省・黒竜江省の状態が悪かったためではないのかと推測されているのです。この中国にとって非常に重要な穀倉地帯を2020年08-09月3つの台風が襲いました。
「台風10号」の際にはMoney1でも↑でご紹介しましたが、数字は表に出てこないもののトウモロコシ・米が被害を受けたと推定されるのです。
さらに2020年09月11日、「中国穀物局・物資準備局を含む8部門が秋の穀物買い取り・移送の手配を行うことについての通知を発行」という文書が出ました。
2020年9月11日、国家穀物準備局、国家発展改革委員会、財務省、運輸省、農村部、中国人民銀行、中国銀行規制委員会、中国鉄道グループは、この秋の穀物の購入に関する通知を共同で発行しました。作業は完全に調整され、展開されます。
(中略)
穀物市場の監視と早期警戒を強化するために、穀物買収のための良い世論環境を醸成するために、情報を広く公表し、穀物買収政策の疑問、社会的な懸念へ積極的に対応をしながら、穀物の買収状況を追跡します。
この通知では、さまざまな場所にあるすべての関連部門が組織とリーダーシップを強化し、食糧安全のためのガバナーの責任体制を完全に実施し、食料購入の調整メカニズムを改善し、責任の分担を明確にし、調整を強化し、状況分析と判断を強化し、買収をタイムリーに解決する必要があることを強調しています。
新たな状況や問題のタイムリーな解決は、秋の穀物の円滑で秩序正しい購入を保証します。
⇒参照・引用元:『中国穀物局』公式サイト「国家粮食和物资储备局等8部门印发通知 安排部署秋粮收购工作」(原文・中国語/筆者(バカ)意訳)
つまりこれは、中国国内の穀物の買い取り、移送、販売については国家が握ると宣言する文書です。民間での穀物の買い取りや移送、販売は許さないとしているわけです。
何か重大なことが起こる前触れのような文書だと思われませんでしょうか。
前記のとおり「中国の食料危機はすでに始まっている」と指摘する識者もいらっしゃいます。これから中国の食糧問題がどうなるのかは注視する必要がありそうです。
ちなみに中国は食料自給国ではありません。すでに30%は海外から輸入しているのが現状です。
(吉田ハンチング@dcp)