「韓国は戦略的節操を保たなければならない」中国が「節操」と言う

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中国韓国を自由主義陣営国を引っ剥がす必要があります。

中国はそもそも「(超大国である)中国には友人ないらない」とうそぶく国ですが(外交部が本当にそう言いました)、それでも味方をしてくれるのは「ソ連時代のド・ビンボに戻るコースに入ったロシア」、「合理的な経済判断ができないエルドアン率いるトルコ」、ビンボな中央アジア諸国で――これでは国際的な立場は覚束おぼつきません。

一応自由主義陣営国の一角を担うと目される国、そこそこお金がある国を味方として確保しないとならず、そこで韓国なのです。

当の韓国内ではいまだに「米中の等距離外交」と妄想を語るアンポンタンがいらっしゃいますが、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権は明確に自由主義陣営国側に舵を切っています。

中国としては尹錫悦(ユン・ソギョル)政権がこのまま権力を握り続け、自由主義陣営国にとどまり続けては困るのです。

全体の絵図はこのようなものなので、中国は韓国を揺さぶって「キャン」と鳴かせようとあの手この手を繰り出しています。

Money1でも先にご紹介した、

限韓令の再始動(の気配)」
「海関総署による『韓国からの輸出品目』への検査強化
(まだ表には影響が出ていません)
李在明(イ・ジェミョン)の駐韓中国大使館への招待

などは、全て「あの手この手」の範疇です。

中国にとって「付け目」は、韓国がこれまで対中国貿易で大きな黒字を稼いできたという事実です。中国としては、これをカタにとって韓国を脅しています。

つまり、中国を怒らせたら韓国の輸出を制限して「壊滅的な打撃を与えるぞ」というわけです。これこそ韓国を圧迫するために使える中国最大のカードです。

実際、中国外交部や秦剛外交部長官、中韓邢海明(シン・ハイミン)大使の言葉を見ると、すべからく「韓国の最大の輸出相手国は中国」といった言及が入っています。

明らかに「中国と揉めたら経済が大変なことになるよね」という脅しです。

しかし、実際には、韓国はもはや対中国貿易ではもうからなくなっており、これまた先にご紹介しましたけれども「中韓修好30周年」にして「韓国の対中国貿易黒字」はわずか「12億ドル」まで縮小しました。

修好31年目となった2023年には完全に赤字に転落しています。以下が韓国の産業通商資源部が公開した通関ベース「2022年01月~2023年05月」の貿易収支(輸出 – 輸入:貿易のもうけを示す)の推移ですが――。

2023年は01~05月累計ですでに「-118億ドル」と大赤字です。つまり、中国が韓国を脅せるような状況ではなくなってきたのです(もちろん今すぐバッサリ中国との関係を切るわけにはいきません)。

「だって、あんたと付き合っても得がないもの」です。

中国側もこの中韓貿易の変化は十分に理解しています。「もしかして韓国側が中国を切るということはあるまいな」 という疑心暗鬼に駆られだした節があります。

というのは、中国共産党の英語版御用新聞『Global Times』に以下のような記事が出ているのです。

タイトルは「US’ economic coercion, bullying the real risk to South Korean economy」(アメリカ合衆国の経済強要、いじめが韓国経済の真のリスク)で、いつものとおり韓国に対する警告(というか脅し)ですが、以下のような注目ポイントを引用してみます。

(前略)
合衆国の悪意あるチップ戦争は危険なゲームとなり、その中で韓国はハイテク輸出が減少し続け、ますます苦境に立たされている。

05月の対中輸出は128億ドルとわずかに増加したが、この数字は今年01~05月の累計で前年同期比26.7%減となり、韓国経済に警鐘を鳴らした。

中国の税関が水曜日に05月の貿易データを発表する前に、一部のメディアは米中競争問題を大々的に取り上げた。

合衆国が中国に代わって、近い将来、韓国にとって最大の貿易相手国になる可能性がある、というのだ。

『Korea Herald』は、韓国の産業通商資源部のデータを引用して、04月の韓国の対中輸出は95億2,000万ドルに減少し、対米輸出は91億8,000万ドルに達したと報じた。

韓国の対米輸出を品目別にみると、石油製品、石油化学製品、鉄鋼、自動車部品、二次電池、プラスチック製品などが輸出量を伸ばした、と同紙は報じている。

韓国の対米輸出増加は、韓国経済にとって明らかに良いニュースだが、同時に韓国社会は警戒し、合衆国が米韓貿易を地政学的ゲームの交渉材料として利用することを避けるべきである。
(後略)

⇒参照・引用元:『Global Times』「US’ economic coercion, bullying the real risk to South Korean economy」

この記事で述べているとおり、韓国の輸出は、対中国より対米の方が伸びており、このままいくと「最大の輸出相手国は合衆国」となる可能性が高まっています。中国からすると、これは困った事態です。

輸出をカタにとって韓国を脅す」というカードの効力が弱まるからです。

ですので、中国共産党の御用新聞『Global Times』がわざわざこの点を指摘して「合衆国に利用されるなよ」などと書いているのです。自分が韓国に対して行っていることであるのもかかわらず――です。

傑作なのは同記事の結びの部分です。以下をご覧ください。

(前略)
合衆国が中国との「デカップリング」や「デリスク」を推進すればするほど、韓国への圧力は強まり、韓国は戦略的節操を保たなければならない。

韓国は、合衆国の地政学的な計算のために自国の利益を犠牲にしてはならない。

中国の経済と市場は大きなチャンスをもたらすが、米国による経済的強制といじめは、韓国経済にとっての真のリスクである。

⇒参照・引用元:『Global Times』「US’ economic coercion, bullying the real risk to South Korean economy」

この期に及んで「中国の経済と市場は大きなチャンスをもたらす」などと書いているのには呆れるしかありませんが、「韓国は戦略的節操を保たなければならない」は危機感の表明です。

「韓国は中国側に立てよ」という脅しであり、「行かないでくれ」という悲鳴です。

韓国が取れるのは遅滞戦術です。

時間を稼ぎながらゆっくりと、しかし確実に中国から撤退することです。何度もご紹介していますが、例えば『SKハイニックス』の半導体ファウンドリーなどはどうせ中国から逃げられませんから、捨て駒に使うしかありません。

自由主義陣営国からすれば、中国を石器時代に戻さなければ安心はできません。韓国が自由主義陣営国にとどまりたいなら、脱中国の一翼を担うべきです。

(吉田ハンチング@dcp)

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