『Bloomberg』が報じ、韓国メディアも記事にしています。
韓国の株式市場において「空売りを全面禁止にする」というのです。しかも、総選挙をにらんで「政治的な意図による措置」だとしています。
『Bloomberg(日本語版)』によれば――金融委員会(略称「FSC」)が11月06日の週に詳細を詰め、11月21日までに政府の最終計画が策定される――とのこと。
Money1でも何回もご紹介してきましたが、韓国では個人投資家の多くが「空売り」を非難しています。
理由は「外国人投資家が空売りするから株価が上がらない」「個人投資家が食い物にされている」と主張するのです。
↑「文空売りも禁止に」「金融委員会は解体」「大韓民国の東学アリを生かして!」と書かれたバス(「韓国株式投資連合会」の仕立てたもの)
上掲のとおり、「文大統領、空売りを禁止に」「金融委員会は解散せよ」とスローガンを書いたラッピングバスが街中を走るくらいです。
2020年03月16日、コロナ禍によって株価が大きく下落し、韓国当局は「株価のサゲ」を食い止めるため、空売りの全面禁止に踏み切りました。
Money1でもご紹介しましたが、それで株価はどうなったのかというと……当局の意図を嘲笑するかのように下がったのです。残念でしたね(笑)。
この空売り全面禁止から韓国はいまだ回復していません。
「KOSPI 200指数」と「KOSDAQ 150指数」に上場されている株式の空売りは認めた(回復した)のですが、実はそれ以外の株式銘柄の空売りは認めていないのです。
問題は、この空売り禁止措置の推進が極めて政治的な動機によるということです。簡単にいえば、『国民の力』による人気取りです。しかも、『共に民主党』にも反対しにくいイシューであるという点がミソです。
韓国の皆さんが「やりたい」というのであれば勝手にやればいいですが、もし行った場合『MSCI』の先進国枠への編入がさらに遅れることになるでしょう。
なぜなら『MSCI』は、先進国枠への編入がNGな理由として「空売り制限をまだやってるじゃないか」という点を挙げているからです(以下の過去記事を参照)。
ちなみに、現在の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は過去に「違法な空売りを取り締まれ」と述べたことがあります(以下の過去記事を参照)。
そのため総選挙でプラスに働くのであればと、「空売り全面禁止」にGoを出す可能性があります。「空売り全面禁止」の場合、韓国の熱望する「先進国入り」は遠くなりますね。
(吉田ハンチング@dcp)