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米中首脳会談は本当にやりますか? 鉄砲玉・王毅も苦闘する地ならし

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アメリカ合衆国のバイデン大統領と中国の習近平総書記による首脳会談が行われる予定です。

来る11月中旬にサンフランシスコで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて開催される――と期待されています。

すでに「両国は開催に合意した」と報道が出ており、そのために鉄砲玉役の王毅外相が訪米。地ならしを試みましたが……どうも内容が怪しいのです。

2023年10月30日、中国の外交部は「王毅の主張」について異例の長広舌で説明を行いました。以下をご覧ください。

『AFP』記者:
中国の王毅外相は最近、習近平国家主席とバイデン大統領の会談準備は「自動操縦」ではできないと述べた。 この会談を確認するためには、どのような条件を満たす必要があるのか、中国側にお伺いしたい。

汪文斌:
ご質問ありがとうございます。

この機会に、中国共産党中央委員会政治局委員で外交部部長を務める王毅がこのほど訪米したことについてご説明したいと思います。

王毅は訪米中、ジョー・バイデン米大統領、サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)と個別に会談した他、ブリンケン米国務長官と2回にわたり会談し、米戦略界、財界、産業界などの代表と会談した。

王毅は、今回の訪問の目的は、合衆国側と意思疎通を図り、両首脳の重要なコンセンサスを効果的に実行に移し、バリへの回帰を基礎に、中米関係の衰退を食い止め、安定させることを推進し、一日も早く健全で安定した発展の軌道に戻すことだと述べた。

米中の「一つの中国」原則と3つの共同コミュニケは、両国関係の最も重要な政治的基礎であり、干渉を排除し、効果的に守らなければならない。

中国は、合衆国側が中国との関係を安定させ、改善させたいと望んでいる ことを重視する。

中国と合衆国は、世界、歴史、人々に対して責任ある態度を取り、習近平国家主席の相互尊重、平和共存、Win-Winの協力という3原則に従って中米関係を推進し、中米関係が真に安定し、改善するようにすべきであり、これは両国と人民の根本的利益に沿うだけでなく、国際社会の共通の期待でもある。

王毅は、今年の米中関係の紆余曲折を振り返り、経験は総括する価値があり、教訓を学ぶ必要があり、最も重要なことは「5つのマスト」を実行することだと指摘した。

米中関係を安定させ、改善するために、双方はまた、互いの戦略的意図を客観的に理解し、中米間の相互作用における競争要因を正しく捉え、国家安全保障の概念を明確にすべきである。

王毅は、台湾海峡の平和と安定に対する最大の脅威は「台湾独立」であり、米中関係に対する最大の挑戦も「台湾独立」であり、断固として反対し、具体的な政策と行動に反映させなければならないと強調した。

王毅はまた、南シナ海問題に対する中国の厳粛な立場についても詳しく説明した。

双方はまた、イスラエル・パレスチナ紛争、ウクライナ、朝鮮半島の核問題についても意見を交換した。

合衆国側は、合衆国政府は中国との関係を重視していると述べた。

ここ最近、米中は接触と交流を維持し、率直かつ建設的な意思疎通を行い、前向きな成果を上げてきた。

合衆国側は、両国関係が安定的かつ持続的なものになることを望んでおり、中国側との意思疎通を強化し、誤算を防ぎ、協力が必要な分野での協力を模索し、世界的な課題に共同で取り組むため、米中ハイレベル交流の次のステージに備えたいと考えている。

訪米期間中、米中両国は対等かつ相互尊重の態度で、共通の関心事である多くの問題について踏み込んだ建設的かつ実質的な戦略的意思疎通を行い、中米関係の安定と改善に向けた積極的なシグナルを共同で発信した。

双方は、中国と合衆国という2つの主要国が対話を維持することは有益であり、必要であると考えている。

双方は、米中関係が一日も早く安定し、改善することを願っている。

双方は、サンフランシスコ・サミットの実現に向けて共同で努力することで一致した。

今おっしゃった関連問題に対して、われわれは、「サンフランシスコへの道」は平坦なものではなく、「自動操縦」に頼ることはできないことを強調する必要がある。

そのために、双方は効果的に「バリに戻り」、両首脳のコンセンサスを実践し、干渉を排除し、障害を克服し、コンセンサスを高め、成果を積み重ねるべきである。

米中両国はこのほど、米中海洋問題協議、米中軍備管理・不拡散協議、米中外交政策協議、米中問題調整会議を開催し、問題協力覚書の調印を模索することで合意した。また双方は、旅客直行便のさらなる増便に合意した。

⇒参照・引用元:『中国 外交部』公式サイト「2023年10月30日外交部发言人汪文斌主持例行记者会」

ご注目いただきたいのは、中国は「合衆国側が中国との関係を安定させ、改善させたいと望んでいる」ことを重視している――と書いている点です。

つまり、中国は「合衆国が望んでいるから」米中首脳会談のための地ならしをしているのだ、と強弁しています。

中国側としては、米中首脳会談の結果が、少しでも中国側にとって有利であるようにしたいのですが、合衆国側も「そうはさせるか」と抵抗している模様です。

中国側、王毅外相が一貫して主張しているのは、2022年11月14日にインドネシア・パリ島で行われた首脳会談の結果を基礎とせよ――です。

しかし、この会談では合衆国は「中国の覇権獲得行動について容認する」などとは合意していません。

王毅外相は「サンフランシスコへの道は平坦ではない」と述べていますが、全くそのとおりです。

この極めて地ならしに苦闘している米中首脳会談、本当に意味ある開催になるのでしょうか。また、どんな合意が行えるというのでしょうか。

(吉田ハンチング@dcp)

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