定点観測です。
2024年01月07日、中国の国家外貨管理局から2023年12月時点での外貨準備が公表されました。以下です。
外汇储备……3兆2,379.77 億ドル
(Foreign currency reserves)
対前月比:+661.70億ドル基金组织储备头寸……97.47億ドル
(IMF reserve position)
対前月比:+0.61億ドル特别提款权……535.96億ドル
(SDRs)
対前月比:+3.61億ドル黄金……1,482.26 億ドル
(Gold)
対前月比:+25.25億ドル7,158万トロイオンス(11月) ⇒ 7,187万トロイオンス(12月)
対前月比:+29万トロイオンス其他储备资产……1.45億ドル
(Other reserve assets)
対前月比:+1.64億ドル計:3兆4,496.91億ドル
対前月比::692.81億ドルデータ出典:『中国 国家外貨管理局』公式サイト
当月は外汇储备(Foreign currency reserves)が一気に661.70億ドルも増加。「3兆2,379.77 億ドル」まで回復しました。
2022年01月から2023年01月までの推移を見ると以下のようになります。
SDR’sや金などを含めると「3兆4,496.91億ドル」で692.81億ドルの増加です。
中国の国家外貨管理局は今回の発表データについて、
「2023年12月、主要国の金融政策や期待などの影響を受け、米ドル指数は下落し、世界の金融資産価格は全般的に上昇した。同月の外貨準備高の規模は、為替レートの換算や資産価格の変動などの要因が重なって増加した。わが国の経済は引き続き好転し、質の高い発展が着実に進んでおり、これが外貨準備規模の基本的な安定を維持する支えとなるだろう」
と述べています。「わが国の経済は引き続き好転し、質の高い発展が着実に進んで」いるかどうかは相当に疑問ですが、まあ当局としてはそういわないといけないのでしょう。
やはり中国は当月も金の保有量を増やしました。対前月比で「29万トロイオンス」(約9.02トン)の増加です。
中国の金の保有量の推移は以下です。
中国は2022年11月から金の保有量を増やし始め、2023年12月時点で上掲のとおり「7,187万トロイオンス」(約2,235.41トン)まで積み上げました。
これで14カ月連続の増加です。
なぜ金の保有量を増やしているかといえば、アメリカ合衆国とのデカプッリングのためです。ロシアのように外貨準備高を凍結されるわけにはいかないのです。実際、中国は合衆国公債の保有金額もどんどん減らしています。
↑中国の合衆国公債保有額は、2023年10月時点で「7,700億ドル」まで減少しています。
かつては外貨準備高3兆ドルの3分の1、すなわち約1兆ドルは合衆国公債だったのですが、もう8,000億ドルを割り込んでいるのです。Money1でもご紹介したとおり、この合衆国公債を手放す動きは、かつて共産党の英語版御用新聞『Global Times』が「このまま米中対立が進むなら、中国は米国債の保有額を8,000億ドルまで下げるかもしれない」と警告したとおりです(3年かかって実現しました)。
当時、日本の識者の中には、まともに取らず「できるものならやってみろ」などと言っていた方もいらっしゃいましたが、中国共産党というのは「やるときはやる」のです。
ただし、合理的な判断を下すとは限りません。自らの覇権獲得のためには「合理的な判断」でなくても「やる」のです。
間もなく、合衆国財務省から2023年11月時点での中国の合衆国公債保有額が公表されます。7,700億ドルからさらに減ったのか?にご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)