中国国務院「1号文書」の衝撃。「都市部のインテリを農村に送る」と書いています

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いや、あんたのせいじゃないのか――という話です。

2024年02月03日、中国の国務院は「中央委員会文書第1号」を発行しました。Money1では残念ながらタイムリーにご紹介しそこなっていた「三農問題」習近平演説に関するものです。


↑1号文書について『新華社』の報道を紹介する国務院のホームページ/スクリーンショット

三農問題というのは、「農業・農村・農民」に関する問題のことをいいます。読者の皆さまもご存じのとおり、中国では農村と都市部の収入格差が著しく、いまだに農村の貧困は解決していません。

習近平総書記は「中国においてもはや貧困はない」などと宣言しましたが、ウソです。

このような文書が出ること自体がウソであることの証明ですが、同文書は以下を骨子としています。

1. 国家の食糧安全保障を確保する
2. 大規模な貧困への逆戻りが起こらないようにする
3. 農村産業の発展レベルの向上
4. 農村建設レベルの向上
5. 農村統治レベルの向上
6.「農業・農村・農民」に対する党の全体的な指導力を強化する

⇒参照・引用元:『中国 国務院』公式サイト「中共中央 国务院关于学习运用“千村示范、万村整治”工程经验有力有效推进乡村全面振兴的意见」

「1」について1号文書はこう書いています。

一)抓好粮食和重要农产品生产。扎实推进新一轮千亿斤粮食产能提升行动。稳定粮食播种面积,把粮食增产的重心放到大面积提高单产上,确保粮食产量保持在1.3万亿斤以上。

一、穀物と重要農産物の生産を改善する。

穀物生産能力を1,000億斤増強するための新たな一連の行動を強力に推進する。穀物播種面積を安定させ、穀物増産の重点を大規模な収量向上に置き、穀物生産が1兆3,000億斤以上を維持できるようにする。

中国の1斤は500グラムなので、1,000億斤は5,000万トン。1兆3,000億斤は6億5,000万トン。

「食料安全保障」と書いていますが、これは中国共産党にとっても非常に重要なポイントです。

中国では、人々が食い詰めるときには世直し運動が起こり、王朝が倒されてきました。「鼓腹撃壌」の裏返しで、食えなくなって人々の不満が高まることこそが中国共産党のピンチなのです。

そのため、国民が飢餓に苦しまないようにすることこそ、中国共産党にとっての死活問題です。もちろん中国の人民が飢えないのが目的ではありません。食料が行き渡らないと、中国共産党が倒されるかもしれないからです。

(公表数字が本当であれば)14億人も人口がいますので、食料の問題は深刻です。年間の穀物生産量「6億5,000万トン」を維持しないと、安全保障上危ないと自ら述べているのは重要なポイントです。

ご注目いただきたいのは「2」です。「大規模な貧困への逆戻りが起こらないようにする」と書いていますが、その可能性があるからこう書いているのです。

さらに面白いのは「6」の「農業・農村・農民」に対する党の全体的な指導力を強化する――です。

「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想をテーマにした学習を強化・拡充し、教育成果を実践する」と毎度おなじみのフレーズが出てくるのはもちろん、

「農村活性化人材支援計画を実施し、地元の農村人材の育成を強化し、都市のさまざまな専門的・技術的人材を農村で奉仕するよう秩序正しく指導し、農民の全体的な資質を総合的に向上させる」

――と、かつての「下放」みたいな話まで出てきます。

都市部で仕事がなくて困っている大卒の皆さんは、かつて中国であったように、農村に送り込まれるかもしれません。

さあ中国に何が起こるのか、注目したいところです。

(吉田ハンチング@dcp)

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