韓国の造船業というのはすっかり斜陽産業。
先にご紹介したとおり「第1四半期は中国を追い抜いて世界一のシェアを取り返した」などと喜んでいますが、廉価販売で全然儲からないのが韓国の造船業です。
補助金じゃぶじゃぶダンピング攻勢の中国に勝つことなどできませんので、「もうやめればいいじゃない」という話なのですが、韓国政府はまだお金を突っ込むつもりです。
韓国の産業通商資源部と金融委員会は、5大銀行を含む10の銀行と中型造船会社へのRG発行についての会議を行いました。
RGというのは「Refundment Guarantee」の略で「前払金返還保証書」と訳されます。
船主が造船会社に船舶を発注するときに要求するものです。
船舶の金額というは高い買い物で、しかも完成するまでに時間がかかります。そのため、船主はマイルストーンごとに前払い金を支払います。ところが、作業が遅れたり、造船会社が倒産したりすると、船は完成しないし支払った前払い金も返ってこない――という最悪な事態に陥ります。
そのため、船主は「何かあったときには前払金を返還します」という契約を要求します。
船主側からすればこのRGがないと危なくて船舶を発注できません。造船会社からすれば、RGがなければ仕事を受注できません。
そのため韓国では、中型造船会社のために2,000億ウォンのRG発行を銀行圏が引き受けているのです。正確にいえば、韓国政府が銀行圏に保証させています(こういうところが韓国の無茶苦茶な点です)。
この2,000億ウォン分のRGは、Money1でもご紹介したとおり、2023年05月に作った制度で(無理を通した)間もなく期限が切れます。そのため、また銀行を集めたのですが、これを「3,000億ウォン分にならねえか」と要求したとのこと。
RGを1,000億ウォンぶん余計に切れ、というのです。
銀行側からすれば「冗談じゃねえよ!」です。
大手造船会社と違って資本も弱く、そもそも造船業は斜陽産業。熟練工も減っており、船舶を完成させられないリスクは高まっています。造船会社がケツをまくったら、前払金の返済はRGを切った銀行が支払わなければならくなります。
そうまでして安値受注の赤字商売を継続させたいというのは何なのでしょうか。
もし国策として造船業を継続したなら、これまでどおり中型造船会社に対するRGは、国策銀行である『産業銀行』、『輸出入銀行』が切るべきでしょう。民間銀行をリスクの高いRG発行に参加させようという韓国政府の所業はおかしいとしか言えません。
もっとも、もはや『産業銀行』にも『輸出入銀行』にも余力がないというのであれば、理解できます。
つくづく韓国というのは駄目な政府です。民間銀行が持っているお金も自分のものだと思っているのです。韓国で銀行業を行うというのは罰ゲームみたいなものでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)