2025年07月14日、中国の税関総署が「(4)2025年6月時点の主要輸出品目の数量・金額表」を公表したのですが、非常に興味深い数字があります。
レアアースの輸出量です。以下をご覧ください。
2025年06月の輸出量は「7,742.2トン」となっています。
ちょっと待ておい――という数字です。
2024年06月が「4,828.7トン」でしたから、対前年同期比で「60.3%」も増加しました。輸出量が約1.6倍にもなったのです。
2025年05月は「5,865トン」だったので、対前月比で32.0%増になります。
2025年04月には、中国がレアアースの輸出管理を強化し、これが合衆国・欧州への供給不安を生み、貿易摩擦が激化しました。
06月には「中国側が合衆国の自動車および防衛産業にとって不可欠な希土類金属の出荷を加速することを約束し、合衆国側は半導体設計ソフトウェア、ジェットエンジン、学生ビザに対する一部の規制を緩和する」という手打ちが行われた――という報道が出ていました。
その手打ちがレアアースの輸出急増のつながった――というわけです。
ただし、ご注目いただきたいのは01~06月の累計輸出金額です。2025年は01~06月で「1億9,130万ドル」。対前年同期比で輸出量は11.9%増加しているのに、金額は25.3%減少しています。
トン当たりの価格を計算してみると、
2024年の輸出単価
=約8,806ドル/トン
2025年の輸出単価
=約5,874ドル/トン
レアアースの輸出単価はトン当たりで約33%も下落しています。
中国にとっては大変皮肉な結果です。自由主義陣営国に圧力をかけてやるとしてレアアースの輸出を絞ってみたものの――手打ちをして輸出を増やしてみたら、単価が下がって以前より儲からなくなりました――なのです。
(吉田ハンチング@dcp)







