今回は「李成鋼」の名前だけでも覚えて帰ってください。
先にご紹介した「中国当局によるレアアース規制」「韓国企業『ハンファオーシャン』の米子会社5社に対する制裁措置」についてです。
韓国企業にとっては痛手となりますので、韓国政府が交渉(あるいは「泣きつき」)に乗り出しています。
2025年10月22日、韓国産業通商資源部の呂翰九(ヨ・ハング)交渉本部長は、中国商務部の国際貿易交渉代表である李成鋼さんとオンライン会議を行いました。
正直、中国からすれば合衆国とバチバチやっている最中なので、韓国の相手をしている暇はないでしょうが、ともあれ中韓の貿易交渉者がオンラインながら話し合いました。
以下が韓国産業通商資源部が出したプレスリリースです。
中韓通商当局、高位級対話で通商懸案を点検
― 最近の中国によるハンファ・オーシャン米国子会社(5社)制裁の早期解消および
レアアース輸出統制強化に関連した安定供給策を協議 ―呂翰九(ヨ・ハング)産業通商資源部 通商交渉本部長は、中国商務部の李成鋼国際貿易交渉代表(閣僚級)と10月22日(水)午前9時、オンライン会議を通じて、最近の中国による『ハンファオーシャン』合衆国子会社5社に対する制裁対象指定(10月14日)およびレアアース輸出統制強化(10月09日)などの通商懸案について協議した。
まず、呂本部長は、中国によるハンファ・オーシャン子会社への制裁措置に懸念を表明し、その早期解除に向けて継続的に協議を進めていくよう要請した。
また、輸出統制範囲の拡大に関する産業界の懸念を伝えるとともに、供給網の安定化策について、意思疎通チャンネルを通じて緊密に協議していくことを提案した。
一方、両国は、今回のAPEC首脳会議の機会に通商大臣会合を開催し、上記の内容を含む関心事項について継続的に協議していくことで一致した。
今回、呂翰九(ヨ・ハング)さんのカウンターパートとなった李成鋼国際貿易交渉代表は、以下のような「いかつい顔面」の人です。

この人は「外交部・趙立堅さん」のような戦狼外交を旨とする人物と目されており、アメリカ合衆国のべッセント財務省長官から「常軌を逸した失礼な人物」とののしられたことがあります。
2025年08月、李成鋼さんが招待もないのにワシントンD.C.を訪れ、高官級会談を要求したためです。この会談というのが「中国に対して虚偽の主張を繰り返す米国に説教する」ためのものだ――としたのです。
09月15日、ベッセント財務長官は08月の李成鋼さんの発言に対して、
「常軌を逸している」
「08月28日にここで扇動的な発言をした副長官は、恐らく暴走している」
「この人物は非常に失礼だ」
――と述べ、公然と批判しました。
これが理由なのかは不明ながら、2025年10月25日、李成鋼さんは、
『WTO』常駐中国代表
特命全権大使
ジュネーブの国連事務所およびスイスにある他の国際機関の副常駐代表
――の職を習近平さんの名の下にすべて解任されました。

↑2025年10月20日、公表された「習近平国家主席が海外大使を任命・解任」
この札付きの人物が、呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長のカウンターパートとして登場したわけです。
アポもとらずに勝手に乗り込んできて、高官会議を要求するような戦狼外交の徒が中国政府の相手なのです。呂翰九(ヨ・ハング)さんもさぞかし気が重いことでしょう。
この文書で面白いのは、韓国側はこう言った・このような要求を行った――は書いてあるのですが、中国側が何を言ったのかまったく書かれていない点です。
韓国自称「超格差K-APEC」を契機に、通商交渉を行うそうです。
まあ両国とも頑張ってみてください。
(吉田ハンチング@dcp)







