韓国では格差が拡大している「可処分所得の格差が8.8倍」⇒「赤字で生きる層」と「資産を増やす層」に分離した経済構造

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2026年02月26日、韓国の国家データ庁(統計庁から改組)が非常に面白いデータを公表しました。

「2025年第4四半期及び年間(支出)家計動向調査結果報道資料」という資料です。この中に「本当に韓国の国民は豊かになっているのか」という疑問を抱かせるデータがあります。

□ 2025年第4四半期の世帯当たり月平均所得は542万2千ウォンで、前年同期比4.0%増加(実質所得1.6%増加

□ 2025年第4四半期の世帯当たり月平均消費支出は300万8千ウォンで、前年同期比3.6%増加(実質消費支出1.2%増加

□ 2025年第4四半期の世帯当たり月平均可処分所得は434万9千ウォンで、前年同期比3.4%増加

□ 2025年の世帯当たり月平均消費支出は293万9千ウォンで、前年比1.7%増加(実質消費支出0.4%減少

⇒参照・引用元:『韓国 国家データ庁』公式サイト「2025年第4四半期及び年間(支出)家計動向調査結果報道資料」

2025年第4四半期は月平均所得、月平均消費支出、月平均可処分所得が増加したとなっています。これだけ見ると「いい話ですな」――かもしれませんが、実はそうではないのです。

2025年の世帯当たり月平均消費支出は293万9,000ウォンで、前年比1.7%増加したのですが、物価の影響を除いた実質消費支出は0.4%減少したのです。

年間基準で実質消費が減少したのは、コロナ禍の直撃を受けた2020年以降で初めてのことです。

さらに興味深いデータがあります。

2025年第4四半期には、所得第1分位(下位20%に当たります)世帯の平均消費性向138%で、前年同期比4.3ポイント上昇しています。

平均消費性向というのは、可処分所得(税金や年金・社会保険料などの非消費支出を除いた自分の裁量で使える所得)に対する消費支出の割合を指します。

平均消費性向 = 消費支出 ÷ 可処分所得

で求めます。つまり、100%を超えれば所得を上回って支出したことになりますね。

Average Propensity to Consumeのこと。APCと略されます。

韓国の所得脆弱層は、平均で可処分所得の1.38倍支出していることになるのです。えっ、どうやって暮らしているの?――と驚く数字です。

資料の中にある、この所得分位別の表組は非常に興味深いものなので、以下に引きます。


□□□□□

区分 第1分位 増減率 第2分位 増減率 第3分位 増減率 第4分位 増減率 第5分位 増減率
世帯員数(人) 1.34 1.65 2.13 2.73 3.08
世帯主年齢(歳) 60.8 53.8 51.4 49.8 51.0
所得 1,269 4.6 2,948 1.3 4,482 1.7 6,530 3.0 11,877 6.1
経常所得 1,253 4.4 2,910 1.2 4,439 1.6 6,457 2.7 11,511 6.7
勤労所得 316 7.2 1,564 -6.7 2,692 -3.7 4,388 4.9 7,881 8.7
事業所得 132 -5.9 544 14.4 966 10.0 1,271 -4.5 2,704 2.8
財産所得 16 9.7 44 20.7 45 4.0 52 -8.9 127 -20.8
移転所得 789 5.0 758 10.5 736 13.1 746 4.4 798 7.4
公的移転 559 0.7 561 7.4 518 13.4 488 0.0 515 6.5
私的移転 230 17.3 197 20.3 218 12.3 258 13.8 283 9.2
非経常所得 17 28.6 38 5.2 43 16.9 72 29.6 366 -11.5
家計支出 1,672 7.0 2,435 0.8 3,629 -0.6 5,043 6.5 7,627 6.1
消費支出 1,464 5.7 1,970 -0.1 2,780 0.7 3,716 6.3 5,110 4.3
非消費支出 208 17.8 465 4.9 849 -4.8 1,327 7.2 2,516 10.0
可処分所得¹ 1,061 2.4 2,483 0.6 3,633 3.4 5,203 1.9 9,361 5.0
黒字額² -403 -15.5 513 3.5 853 13.2 1,487 -7.5 4,250 5.9
黒字率(%)³ -38.0 -4.3p 20.7 0.6p 23.5 2.0p 28.6 -2.9p 45.4 0.4p
平均消費性向(%)⁴ 138.0 4.3p 79.3 -0.6p 76.5 -2.0p 71.4 2.9p 54.6 -0.4p


可処分所得 = 所得 − 非消費支出
黒字額 = 可処分所得 − 消費支出
黒字率 =(黒字額/可処分所得)×100
平均消費性向 =(消費支出/可処分所得)×100

※ 「*」表示は相対標準誤差(RSE)が高いため利用時に注意

まずご注目いただきたいのは、所得の第1分位(下位20%:最下位)と第5分位(上位20%:最上位)で、

可処分所得(平均)
第1分位:106.1万ウォン
第5分位:936.1万ウォン

可処分所得の格差が8.8倍もあることです。

本質は「消費余力の格差」です。

第1分位:-40.1万ウォン:赤字
第5分位:+425.5万ウォン:黒字

所得下位20%の皆さんは普通に暮らしていても赤字で生き続けるのも苦しい状況ですが、第5分位の皆さんは十二分の余裕があります。

これが消費性向の極端な乖離に表れています。

消費性向
第1分位:138%(赤字消費)
第5分位:54.6%(余剰資金あり)

第1分位の皆さんは支出が可処分所得の1.38倍(つまり赤字消費)であるにもかかわらず、第5分位の皆さんは可処分所得の54.6%で支出を賄えているのです。

韓国では格差が「再生産される構造」になっているのです。

所得の「質」が違うのです。・

下位層
移転所得中心(年金・給付)
労働所得が弱い

上位層
勤労+事業+財産所得

特に財産所得が決定的で、同じ「所得」でも中身が全く違います。

この表組の財産所得を見ると、

財産所得
第5分位:12.7万ウォン
第1分位:1.6万ウォン

と約8倍の格差があることが分かります。

さらに背景として、読者の皆さまもご存じのとおり、株価上昇・不動産上昇があります。早い話が、資産を持つ者だけが追加で所得を積み上げるのです。

もう一つ、指摘しておかなければならないのは、所得中間層が「緩衝材」になっていない――という点です。

通常は、中間層が厚ければ「社会的安定」がもたらされます。しかし、しかしこの表組では、

第2・3分位の所得の伸びが弱い
勤労所得が減少している

――と中間層が弱体化していることが分かります。

「格差の性質」がフロー+ストックの二重格差になっているのです。

フロー(所得)⇒ すでに大差
ストック(資産)⇒ さらに差を拡大させている

この二重構造の格差が意味することは、「韓国では格差社会が大きく進展している」です。

所得下位層 ⇒ 消費維持すら困難
所得上位層 ⇒ 貯蓄・投資へ

という状態ですから――金融緩和なんかやっても消費が伸びねえぞ――であります。

この表組は――

韓国が「赤字で生きる層」と「資産を増やす層」に分離した経済構造になっている

――ことを示しているのです。

で、冒頭の話に戻ります。韓国は国民が豊かさを感じられる国なのでしょうか。

日本を抜いたですって? 大笑いですよ。

(吉田ハンチング@dcp)

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