保険の問題があってホルムズ海峡が事実上封鎖となっています。まず『ソウル経済』の記事から一部を以下に引きます。
金融界によると、イギリス『ロイズ保険者協会』(LMA)傘下の合同戦争委員会は03日(現地時間)、戦争危険地域としてペルシャ湾・アラビア湾、オマーン湾、インド洋、アデン湾などを指定した。
戦争危険国もイラン・イラク・イスラエルなど戦争隣接国からクウェート・オマーン・カタールなどを追加し、中東全地域へ拡大した。
合同戦争委員会による危険国指定は、個別の保険契約を締結する際に保険料と担保条件を決定する基準となる。
世界の主要再保険会社の大半がロンドン再保険市場の条件に従っているためである。戦争直後の今月1〜2日に船舶5隻が被弾し、人命被害や火災などが発生すると、保険会社が条件をさらに厳格に要求するようになった。
今回の措置により、当該地域を航行する船舶が従来締結していた戦争危険担保契約は取り消され、保険契約を維持するためには追加保険料を支払って再加入しなければならない。
比較的安全地域であるアラブ首長国連邦(UAE)フジャイラ沿岸の料率は0.0155%水準だが、危険なペルシャ湾内部まで進入するには0.0625%で4倍以上の追加保険料を支払わなければならない。
保険取消通知後48〜72時間が過ぎても再契約を締結しなければ、事故が発生しても保険処理を受けることができない。
保険業界のある関係者は「ホルムズ海峡一帯が急激に危険になったため、事態以前の保険料とは異なる保険料を受け取るしかない」とし、「高い保険料を払ったとしても容易に航行することはできないだろう」と述べた。
保険料が上がっていますが、保険がないママで航行するわけにもいきません。ミサイルに被弾すると損失は莫大な金額になってしまいます。
船舶保険で最も特徴的なのが「P&Iクラブ」です。これは普通の保険会社ではなく船主同士の相互保険組合です。『UK P&I Club』『Gard』『NorthStandard』『Japan P&I Club』などが代表例ですが、
船主が会員
事故が出たら会員で負担
(ただし会員だけで負担しているわけではない)
非営利
――というのが特徴で、世界の船舶の約90%が、このP&Iクラブに加入しています。しかし、P&Iクラブや保険会社だけでは巨大事故があったば場合に支払えません。
ここで再保険会社が登場します。重要なのは「Lloyd’s market(ロイズ)」の存在です。
誤解されることが多いのですが『ロイズ』は保険会社のことではありません。保険引受市場(マーケット)です。ロイズでは多くの保険シンジケートが、
船舶保険
航空保険
戦争保険
を引き受けます。しかし、通常の船体保険は戦争リスクを除外しています。
そのため別途に「War Risk Insurance(戦争リスク保険)」を付けます。これを決めるのが上掲記事に出てきた「Joint War Committee(合同戦争委員会)」です。
この委員会が「危険海域」を指定します。すると
保険料急騰
保険解除
再契約
――が発生するのです。
船舶保険というのは非常に多くの保険屋にリスク分散されています。一隻の船でも実際には
数十社でリスク分担しているというのが現実です。
なぜかというと、例えば「エクソンバルディーズ原油流出:70億ドル」「Deepwater Horizon
:600億ドル」などのようにいったん事故が起きると莫大な金額となり、とても1社で賄えるような金額に収まらないからです。
今回の記事にある「再保険会社が戦争特約を取り消した」というのは、再保険層が崩れていることを意味します(ただし市場が崩壊したわけではありません)。その結果、元受保険会社・P&Iクラブがリスクを引き受けられなくなります。
だからこそ「保険料が4倍に」という話になるのです。
(吉田ハンチング@dcp)






