■「消費税」はあくまでも消費者が負担する税金
消費税とは、消費に掛かる税金です。例えば、100円の商品に8%の消費税、8円が掛かりますが、この税金は消費者が負担しますね。
その商品を売った業者は、消費者から「100円 + 8円」を受け取りますが、この「8円」は業者のものではなく「税金」です。「8円分余計にもうかったー!」とはなりません。販売業者が消費者から受け取った消費税を、国税庁は回収しなくてはなりません。
その回収の仕組みがどうなっているか皆さんはご存じでしょうか?
■「消費税」が負担される仕組み
会社を4つ経由して消費者に販売される商品を想定してみましょう。
●A社 原材料製造業者
原材料を造る会社で、そのために仕入れはなしと想定。
⇒製造したものをB社へ販売:売上 20,000円/消費税 1,600円
●B社 完成品の製造業者
A社から仕入れたもので製品を完成させる。
⇒A社からの仕入れ:20,000円/消費税 1,600円
⇒C社へ完成品を卸し販売:売上 50,000円/消費税 4,000円
●C社 卸し販売業者
B社から仕入れた完成品を、小売業者D社へ販売する。
⇒B社からの仕入れ:50,000円/消費税 4,000円
⇒D社へ販売:売上 70,000円/消費税 5,600円
●D社 小売業者
卸し業者C社から仕入れた製品を、消費者に販売する。
⇒C社からの仕入れ:70,000円/消費税 5,600円
⇒消費者へ販売:売上 100,000円/消費税 8,000円
●消費者
D社で製品を購入する。
⇒消費金額:製品 100,000円/消費税 8,000円
という流れですが、A社は別として、B社、C社、D社は、仕入れが発生する際に「消費税」を支払っています。その一方で、製品の流通過程で売上分の消費税を受け取っています。そこで、「支払った消費税」と「受け取った消費税」の金額を整理してみましょう。
●A社 原材料製造業者
⇒受け取った消費税額:1,600円
●B社 完成品の製造業者
⇒支払った消費税額:1,600円
⇒受け取った消費税額:4,000円
●C社 卸し販売業者
⇒支払った消費税額:4,000円
⇒受け取った消費税額:5,600円
●D社 小売業者
⇒支払った消費税額:5,600円
⇒受け取った消費税額:8,000円
●消費者
⇒支払った消費税額:8,000円
消費税が受け渡されていき、最後に消費者がその製品を買って一連の流れが終わる様子が分かりますね。
■業者が消費税を納入する仕組み
では各業者が、消費税をどのように申告・納付しているかというと、「受け取った消費税」金額から「支払った消費税」金額を引いて、その金額を納めるのです。
上の例で確認しましょう。
●A社 原材料製造業者
⇒受け取った消費税額:1,600円
納税金額:1,600円
●B社 完成品の製造業者
⇒支払った消費税額:1,600円
⇒受け取った消費税額:4,000円
納税金額:4,000円 - 1,600円 = 2,400円
●C社 卸し販売業者
⇒支払った消費税額:4,000円
⇒受け取った消費税額:5,600円
納税金額:5,600円 - 4,000円 = 1,600円
●D社 小売業者
⇒支払った消費税額:5,600円
⇒受け取った消費税額:8,000円
納税金額:8,000円 - 5,600円 = 2,400円
A社からD社までの納税金額を合計すると、
1,600円 + 2,400円 + 1,600円 + 2,400円 = 8,000円
最終的に消費者が支払った消費税は「8,000円」でしたから、このような仕組みで見事に回収することができるというわけです。
■納税が免除されることがある!
重要なのは、消費税があくまでも最終的に消費者の負担するもので、業者の負担するものではないという点です。
また、全ての業者が消費税納税業者のわけではありません。実は、納税を免除される場合があるのです。課税売上高が1,000万円以下の業者は消費税を免除されます。
この課税売上高ですが、
・個人事業者の場合:前々年の課税売上高
・法人:前々事業年度の課税売上高
で判断されます。
つまり、例えば今年度の売上高が1,000万円以下だった会社があったとしても、消費税を免除されるのは次の次の年度になります。翌期はまだ消費税納税業者です。
*……納税免除の詳細は以下の国税庁のサイトを参照してください。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6501.htm
いかがだったでしょうか。経理部以外のサラリーマンの皆さんは、自分の会社がどのようにして消費税を支払っているかなど、あまりご存じなかったのではありませんか。
(高橋モータース@dcp)