どの国でも「年金基金」の資金運用については細心の注意を払っているはずです。国民に給付する老齢年金などの財源ですから、毀損(きそん)するわけにはいきません。
もちろん先のことは誰にも分かりませんので、「これで大丈夫だろう」とポートフォリオを組んでも、思わぬことが起こって損失が出ることはあります。
今回の「新型コロナウイルス」騒動のように。
韓国メディア『NEWSIS』の2020年04月29日の記事によれば、02月末時点で収益率がマイナスに転じ、7.6兆ウォンが溶けたとのこと。
(前略)
国民年金公団 基金運用本部は、今年2月末現在、国民年金基金の収益率が-0.45%になったという暫定集計を29日公示した。それによれば、国民年金基金の設立以来、年平均の累積収益率は5.21%、累積収益は合計364兆2,000億ウォンと集計された。
(中略)先月の5.32%から一カ月で0.11%下落したのだ。
累積収益は371兆8,000億ウォンから364兆2,000億ウォンとなり、7兆6,000億ウォンが消失した。
(後略)⇒参照・引用元:『NEWSIS』「国民年金、コロナ打撃に7.6兆『蒸発』」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
同記事によれば、株式に投資した分が、
国内株式 -7.75%
海外株式 -2.95%
と収益率を落とす一方、
海外債券 +7.85%
代替投資 +3.68%
国内債券 +2.06%
ではプラスだったとのこと。しかしトータルではプラスにできなかったわけです。
また、マイナスながら、国内株式・海外株式とも指数(INDEX)よりは好成績だったようですが、海外株式が指数より良かったのはウォン換算したときのこと。つまりウォン安が進行したためというオチが付きました。
年金資金が7.6兆なくなったのは確かに問題ですが、あくまでも02月末「時点」でのこと。時価の資産価値ですから(特に株式の場合)保有していれば値が戻るとも考えられます。むしろ慌てて「損切りだー!」などと動いた方が良くないかもしれないのです。
ともあれ、年金基金の資金が毀損されない運用が求められます。以下の記事でご紹介したとおり、韓国では年金の枯渇が心配されていますので。
(柏ケミカル@dcp)