韓国の経団連ともいえる『全国経済人連合会』(略称『全経連』)から興味深いプレスリリースが出ました。
海外から韓国への直接投資が2年続けて減少するだろう、というのです。
プレスリリースから以下に引用します。
2019年、米中貿易戦争など世界の保護貿易主義の拡散があって、全世界の外国人直接投資(Foreign Direct Investment inflow)は前年比1.1%小幅減少した。
しかし、先進国クラブである「OECD」加盟36カ国の場合は、6.3%増の8,668億ドルを記録し、3年ぶりに増加に転換した。
これに対し、2015年以降増加傾向が続いてきた韓国の外国人直接投資は20.6%減の105.7億ドルを記録した。
⇒参照・引用元:『全国経済人連合』「2020年の世界の海外直接投資の見通しと韓国の課題」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
OECDは「Organisation for Economic Co-operation and Development 」の略で、日本では「経済協力開発機構」と訳されます。またOECD加盟国を「先進国」とする定義もあります。
で、OECD加盟国と韓国に対する海外からの直接投資の増減を比較してみると以下のようになります。
2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | |
OECD | 3.0% | ▲23.9% | ▲18.4% | 6.3% |
韓国 | 141.1% | 71.3% | 4.7% | ▲20.6% |
2016-2017年、韓国は海外からの直接投資は絶好調拡大中だったのですが、2018年に失速し、2019年に大きく崩れたわけです。
同プレスリリースによればこの原因を以下のようにまとめています。
①2019年に外資企業に対する法人税の減免措置が廃止された
②労働時間短縮と最低賃金の引き上げ
③米中貿易戦争に伴う世界的な投資需要の減少
③はいたしかたないとして、①と②は完全に文在寅政権のせいです。
つまり、新冷戦以外は完全にオウンゴールです。
社会主義的傾向の強い現政権下にあって、韓国に投資しようなんて企業はまあ普通はないでしょう。
ただし、2019年後半になって、韓国政府は[素材・部品・機器の競争力強化対策(2019年08月05日)]を打ち出します。これは日本の輸出管理強化で「自国で必要な素材を作れるようになろう!」とドタバタした結果です。
この[素材・部品・機器の競争力強化対策]で、
コア材料・部品・装置の外国人投資のための現金支援の割合を10%上昇(30% → 40%)
韓国に拠点を置く際の家賃を最大50年間無償提供
という措置を取りました。
そのおかげで2019年第4四半期には、これまでの四半期最大の「98.4億ドル」の直接投資を獲得しています。
2020年01月、『デュポン』が韓国に「半導体製造に必要な『EUV用フォトレジスト』」の生産工場を建設するという発表がありましたが、これは上掲のような「お得な条件」を活用してのことだったのです。
ところが、2020年に入って新型コロナウイルス騒動が始まり、世界中が投資どころではなくなってしまいました。
そのため2020年の韓国への海外からの直接投資は減少すると予測され、2019年、2020年と2年連続の減少となるというわけです。海外から資本が投下されなくなるのは……あんまりいいことではありませんね。
(柏ケミカル@dcp)