2020年05月18日、韓国メディア『毎日経済』に「【独占】税金爆弾を恐れ韓国を去る… 投資移民の相談が3倍に急増」という興味深い記事が出ました。
韓国の資産家が「韓国を脱出しよう」と移民を斡旋する業者に相談しており、その数がこれまでの3倍に達しているというのです。
移民を希望する理由は「韓国の税金が高いから」です。より具体的には「相続税が高い」ので子供に財産を残せないからなのです。
同記事から以下に引用します。まず、相談が増えている状況についてです。
最近、政府の租税政策に不満を感じる資産家の「海外投資移民の問い合わせ」が急増していることが分かった。
過去には、子供の教育、海外投資などが移民の主な目的であったが、最近では、現政府の相続・贈与税などの税金政策に不満を持った人々が行動に出たという分析だ。
コロナ19が全世界を席巻している状況だが、「コロナ19が終わるとすぐに韓国を離れたい」と移民セミナーに出席し、移民斡旋会社のドアを叩いている。
17日、海外投資移民業界などによると、米国、欧州などでコロナ19の拡散があってなかなかめども立たなかったが、最近になって、海外投資移民の問い合わせ・相談が普段より3倍以上に増えた。
移民業者の代表は、「総選挙直後から投資移民問い合わせが殺到した」とし「普段移民問い合わせより3倍程度増加した」と述べた。
コロナ19のために移民への懸念の声もあるが「コロナ19事態が終わったらすぐに離れだろう」という顧客もいることが分かった。
業界によると、投資移民を検討するこれらのほとんどは中年以上のビジネスマンで、資産に少なくとも50億ウォン以上の現金・金融・不動産資産を保有している。
⇒参照・引用元:『韓国経済』「【独占】税金爆弾を恐れ韓国を去る… 投資移民の相談が3倍に急増」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
欧米では新型コロナウイルス騒動が沈静化する兆しがまだ見えませんが、終息したならすぐにでも韓国を離れるというの資産家もいるのです。
また、50億ウォンといえば、日本円で4.35億円ですからかなりの資産家です(2020年05月18日「1ウォン=0.087円」で換算)。
で、韓国を離れる動機である「税金」なのですが、現在の文在寅政権は「お金を持っているヤツから多く取る」という方針であるため、確かに相続税は高いのです。
相続・贈与税の最高税率(名目)は50%
直系卑属※1に事業を継がせるときには税率が最高65%になる
(「議決権のある株式の過半以上」を保有している大企業の最大株主が、課税標準最高区間である30億ウォン以上の株式を譲る場合)
――なので、特に「65%」について韓国の財界から批判の声が多く挙がっています。韓国は財閥(グループと呼ばれます)が大きな力を持っており、これを親族に継承したいでしょうから相続税の税率が高いのは大問題なのです。
曰く、「このような金額は株式を売却しないとお金をつくれない」「株式を売却すると株式譲渡税が22%取られ、実質87%の税金を支払うことになる」「経営権が維持できない」「事業の継承ができない」と。
実際に計算すると「65%」まではいかないのですが、金額が大きくなると65%に近付くのは事実で、それはひとまず置きます。財界や資産家の皆さんが批判しているのは本当ですから(計算については本稿末のURL『聯合ニュース』の記事を参照してください)。
同記事では以下のような例を出しています。
Aさんが韓国で成人した子供1人に30億ウォンを継承させようとすると、子供の控除(5,000万ウォン)、累積控除(1億6,000万ウォン)を勘案しても、10億2,000万ウォンの贈与税が発生する。
しかし、Aさんがアメリカ合衆国に投資移民を行った後、合衆国で成人した子供1人に300万ドルを贈与すると税金は一銭もかからない。
このような税金の高い国にいたら財産を持っていかれてしまう。だから韓国から去る――というわけです。
文在寅政権は、社会主義的な性格を多分に持った政策を展開しており、相続財産に対しても税率を緩めることなど考えられません。むしろ税率を上げることすらあり得ます。それもあって、韓国の資産家の皆さんはさっさと韓国を去りたいのでしょう。
こういうのも資本逃避(キャピタルフライト)の一種です。
※1直系卑属とは「子・孫など自分より後の世代で、直通する系統の親族のこと」です。
⇒参照・引用元:『聯合ニュース』「[ファクトチェック]韓国の相続税率が65%?…名目税率最大50%」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
(柏ケミカル@dcp)