韓国企業は新型コロナウイルス騒動でも好調!と主張するような記事が、2020年07月10日、『中央日報(日本語版)』に出たのですが、印象操作を行いたいのでしょうかと問いたくなる内容です。
いろいろヘンなところがあると思われますのでご紹介します。
(前略)
ジョブコリアが時価総額上位50社のうち、1-3月期の売上高を開示した38社を対象に「大手企業1-3月期売上高現況」を分析した結果、大企業のことし1-3月期の売上高は合計254兆9,600億ウォン(約23兆億円)と集計された。これは、同じ企業の前年同期の売上高の合計242兆4,900億ウォンに比べ5.14%増えた水準だ。
(後略)
⇒参照・引用元:『中央日報(日本語版)』「韓国の大手企業、ことし1-3月期の売上高は前年比5.1%上昇」」
ここだけ読むと、新型コロナウイルス騒動の中、韓国企業は好調!と思うかもしれません。
ことし1-3月期の売上高1位を占めた企業はサムスン電子の55兆3,200億ウォンで最も高かった。これは前年同期(52兆3,800億ウォン)に比べ5.61%増の水準だ。
と続きますが、『サムスン電子』についてはおかしくありません。
2位は現代(ヒュンダイ)自動車で、ことし1-3月期の売上高が25兆3,100億ウォンで、前年同期(23兆9,800億ウォン)に比べ5.55%上昇した。
続いて3位は韓国電力公社(15兆900億ウォン)、4位はLGエレクトロニクス(14兆7,200億ウォン)、5位は起亜(キア)自動車(14兆5,600億ウォン)の順だった。
しかし、このくだりはいただけません。
『現代自動車』の売上高増は「ウォン安」効果で経常利益は「41%」減少
まず『現代自動車』ですが、同社のプレスリリースによれば、「自動車販売台数は前年同期比と比較して11.6%減少」しています。
ではなぜ、売上高が増えたのでしょうか?
回答も同社のリリースにあります。「ウォン・ドルのレートが昨年第1四半期1,125ウォンから今年第1四半期1,193ウォンに大きく下落」したことの効果、また本業の自動車以外の「金融とその他部門の売上高成長」によるものです。
つまり、ウォン安によってウォン建てでは売上が増加したように見えるというわけです。
しかも、「経常利益は、関係会社の損益の悪化と外貨関連損益の減少などの影響で、前年同期比40.5%減の7,243億ウォン」となっています。
この結果で好調といえるでしょうか。
⇒参照・引用元:『現代自動車』公式サイト「プレスリリ-ス」
いいえ、売上高は減っています!
次に『韓国電力公社』。前年同期比で売上高が増加した企業として挙げていますが、『韓国電力公社』自身の資料を見ると、前年同期比で売上は下がっています。以下をご覧ください。
2019年第1四半期の売上高は「15兆2,480億ウォン」だったのに、2020年第1四半期には「15兆930億ウォン」と「1.0%減少」しているのです。
ですから同記事で「第3位」として取り上げているのがそもそもおかしい、ということになります。
⇒参照・引用元:『韓国電力公社』公式サイト「IRプレゼンテーション」
『LGエレクトロニクス』(LG電子)ですが、こちらも前年同期比での売上は下がっています。
同社のプレスリリースに、「第1四半期連結売上高14兆7,278億ウォン」「前年同期比で売上高は1.3%減少」と書かれていますので、こちらも「売上高が増加した企業」として『LG電子』を取り上げるのはおかしいです。
⇒参照・引用元:『Socila LG電子』「LG電子、2020年第1四半期の業績を発表」
『起亜自動車』は営業利益が「25.2%」減少した
最後に『起亜自動車』ですが、同社のプレスリリースによれば、2020年第1四半期の売上高は「14兆5,670億ウォン」。確かに、前年同期比で「17.1%」増加しています(良かった!)。
しかし、営業利益は「4,450億ウォン」で前年同期比で「25.2%」も減少しています。
さらにいえば経常利益は「2,819億ウォン」(70.2%減少)。当期純利益「2,660億ウォン」(59.0%減少)という凄まじく悪い結果です。
利益が激減しているのに、売上高が多少増加したことに意味はあるのでしょうか。
⇒参照・引用元:『起亜自動車』公式サイト「2020年第1四半期の業績」
というわけで、『中央日報(日本語版)』さんの同記事は韓国の人を鼓舞するかもしれませんが、決して韓国企業が好調なことを裏付けるものではありません。
(柏ケミカル@dcp)