韓国のシンクタンク『韓国経済研究院』(KERI)が興味深いリポートを公表しました。法人税率(実効税率)を下げると韓国企業の設備投資が増える(だから下げろ)というのです。
税金が下がったら、企業のフリーキャッシュが増えるわけで、理屈としては「当たり前じゃん!」とも思えますが、このリポートの注目点は具体的な数字を挙げた点です。
としています。
文大統領が法人税を上げた! 世界のトレンドとは真逆
どうやってこの数字を導いたかといいますと……。
韓国の法人税の最高税率は1980年には「40%」でした。これが断続的に下がってきたのですが、2018年に(つまり文在寅大統領になってから)22%から25%に引き上げたのです。
その結果どうなったかといえば、当然ですが2018年、2019年と企業の設備投資増加額は2年連続で前年割れとなったのです。この結果を用いて回帰分析した結果――と『KERI』はしています。
世界的なトレンドとしては法人税を下げる方向にあります。トランプ大統領が「法人税を下げるよ!」として投資家・企業家・市場から歓迎されたのを覚えていらっしゃる方も多いでしょう。日本でも法人税率は引き下げ傾向が続いています。
しかし、韓国の文政権はこの真逆に走ったのです。左派政権で「企業は悪」「財閥をぎゅうぎゅう締める」のが信条ですから、方向性としては分からなくはないですが、完全に間違っています。
『KERI』では回帰分析の結果としていますが、法人税率を下げたら本当に設備投資が増えるかどうか、もちろんこれは実際にやってみないと分かりません。しかし、試している価値は十分あるでしょう。
企業の投資が海外に逃げていく!
『KERI』のリポートがさらに興味深いのは、文政権が法人税を上げて企業の設備投資が減少した2018-2019年に企業の海外投資が増加した点に言及していることです。
2017年:11.8%
2018年:13.9%
2019年:24.2%
税率が上がるので国内に投資してもむだ、海外に投資した方がいい!というわけです。企業としては当然の判断でしょう。
元駐韓日本大使である武藤正敏先生が文在寅さんについて「経済おんち」と喝破されていますが全くそのとおりです。海外に製造拠点を移した企業に対して「戻ってこい」といっていますが、法人税は上げるし、企業に対する規制は増やすし、とやってることが真逆です。
海外に進出した韓国企業が二度と韓国内に戻らないのは、大統領はじめ政府のやってることがまるで信用ならないからです。
⇒参照・引用元:『韓国経済研究院』「法人税負担(実効税率)1%p低くなると設備投資は6.3%増加する」
(松田ステンレス@dcp)