事実上死んでいてゾンビ状態の韓国『双竜自動車』ですが、親会社であるインド『マヒンドラ&マヒンドラ』が新しいオーナー候補のアメリカ合衆国『HAAHオートモーティブ・ホールディングス』との交渉を蹴ったため、「Pプラン」の推進を目論んでいます。
Pプランは無理に無理を重ねる再建計画
このPプランとは、先にご紹介したとおり、以下のような非常に虫のいい内容です。
①減資を行う
②『HAAHオートモーティブ・ホールディングス』が有償増資に応じる
(投入する金額は2億5,000万ドル/株式の51%ホルダーになる)
③債権団が債務の減額を行う
④『産業銀行』など債権団が新たな資金を投入する
⑤ソウル裁判所に再建プランを提出して認めてもらう
①は『マヒンドラ&マヒンドラ』が応じなければダメ
②は『HAAHオートモーティブ・ホールディングス』が承諾しないとダメ
③は韓国内のみならず外資系金融機関も合意する必要がある
④は『産業銀行』など債権団が応じなければダメ
と見事に他力本願で、わずかに②だけ『HAAHオートモーティブ・ホールディングス』が乗り気と報じられています。
ただし、これも『双竜自動車』がそう述べている――というのであって『HAAHオートモーティブ・ホールディングス』が本当に乗り気なのかは不明です。『双竜自動車』側は「事実上同意した」と強弁しているのですが、事実かどうか分からないのです。
先に部品メーカーが倒産しそう
という状態ですが、案の定、Pプランが難航しているという報道が韓国メディア『ソウル経済』に出ました。記事から一部を引用します。
完全資本蚕食状態に陥った双竜自動車が最後の生存カードとして「Pプラン(事前再生計画)」を取り出した。
これを受けて債権団の『産業銀行』は「潜在的な投資家の投資を前提とした事業提案が先行しなければならない」と明らかにした。
(中略)
この日、『産業銀行』はPプランの稼働と『双竜自動車』への『産業銀行』の追加サポートは、潜在的な投資家の投資が前提であると強調した。
(後略)
『産業銀行』は、同行が追加で資金を投じるのは、『HAAHオートモーティブ・ホールディングス』の出資が確定してからだといっています。上掲のとおり、至極まっとうな主張です。資金を投じてまとまりませんでした、ではお話にならないからです。
しかし、もはや『双竜自動車』にお金はありません。01、02月は雇用者の給与を半額にし、部品メーカーへの支払いも滞っています。
ソウル回生裁判所による破綻処理が始まるのは03月01日からで、悠長なことはいっていられないのですが、『双竜自動車』は「4月末までにPプランを仕上げる」なんて言っているのです。
ばかな話もあったもので、そんな時間はありません。そもそもPプランというのは法定破綻処理が開始される前に提出し、承認を受けるものだからです。事実上破綻している『双竜自動車』にひきずられて、部品メーカーが倒産するような状況になっています。
中小の部品メーカーに4月まで無払いで納品しろ、協力しろというのですから。
(吉田ハンチング@dcp)