日本の通貨「円」には不思議な安全神話があって、世界的な経済の混乱があった際には「安全通貨・円が選好」されます。トランプ・タイフ-ンが吹き荒れており、アメリカ・中国の貿易戦争の行方が不透明ですので、円高に振れそうなものなのですが……112円台の円安へと進行しました。
「円高に振れると株安が進行する」というのが常識ですので、日本の株式市場に投資している人間にとっては円安はありがたいことですけれども、この円安の動きはさすがに識者を驚かせています。
通常であれば、
1.アメリカvs中国の貿易戦争悪化
2.投資家のリスクオフ傾向進む
3.米国債などの安全資産に資金が流入
4.3の結果、米国債の利回りが低下する
安全な通貨である円が買われ、円高になる
なはずだった……のです。しかし、米国債の利回りは予測どおり低下したものの、ドル円は「円安」になったのです。米国債10年物の利回りが上昇すれば円も高くなるという相関が完全に崩れました。「投資家のリスクオフからの円高」という予測で、円高に張っていた投資家は目論見が外れて損失を被ったことでしょう。不思議な円の安全神話が崩れたのかもしれませんね。
(柏ケミカル@dcp)