読者の皆さんもご存じのことでしょうが、現在世界的に鉄・銅などの鉱物資源の価格が急騰しています。これは韓国にとっても悩みの種です。今回は鉄鉱石の高騰による影響をご紹介します。
鉄鉱石の価格が市場初トン当たり200ドルを突破しました※。
この鉄鉱石価格の高騰によって、まず輸出の一角を担う「鉄鋼」が大きな影響を受けています。韓国の鉄鋼産業といえば日本の技術を移転してもらって創業した『ポスコ』ですが、鉄鉱石の価格高騰で2021年に入ってから毎月以下のように鉄鋼価格を上げています。
01月:8万ウォン/トン
02月:10万ウォン/トン
03月:5万ウォン/トン
04月:5万ウォン/トン
昨年末と比較してすでにトン当たり「28万ウォン」(約2万7,160円)も上昇しているのです。
鉄ががこの価格上昇ですから、これを用いて製品を作る自動車産業や機械産業、家電産業にも大きな影響が出ています。また建築産業への影響も見逃せず、当然これは不動産価格にも波及します。
この鉄鋼の価格上昇をなんとかしてくれ、と青瓦台・大統領府に請願が出ているほどです。
↑「鉄鋼材と原材料価格の調整に関する要請」という請願。2021年02月23日に請願開始で残念ながら03月25日の締め切りまでに154人しか参加しませんでした
上がオンライン請願の例ですが、「鉄鋼事業を開始して10年目の会社に勤務する46歳の人」からの投稿で、「建設会社や鉄鋼を処理販売する流通業者の両方があまりにも大変な時期です」と窮状を訴えています。
急激な価格上昇で利益を得るのは、国内の大企業と少数の中心的な大型鉄鋼流通業者だけです。国内の大半の中小規模のメーカーと鉄鋼流通業者は、企業の存続が危うい状況に追いやられています。
(後略)
というのが注目ポイントで、『ポスコ』などのピンの企業は値上げをしていけばいいでしょうが、価格競争の激しい中小企業では存亡の危機だというのです。
このように資源価格の上昇は韓国企業を締め付けています。また、これによって輸入金額が上昇し、韓国の貿易収支(輸出 -輸入)を悪化させる影響も想定されています。
実際、『韓国銀行』は石油価格などの上昇によって下半期は貿易黒字が減少するだろうと予測しているのです。
※青島港基準で05月12日:237.57ドルに達しました(史上最高)
(吉田ハンチング@dcp)