世界最大手の通販企業アメリカ合衆国『Amazon(アマゾン)』が中国の越境販売業者をブロックし始めました。日本ではあまり報じられませんが、合衆国では『アマゾン』ではサードパーティーと呼ばれるeコマース業者が安価な偽物、粗悪品を販売し、その苦情が『アマゾン』に殺到して大きな問題になっています。
どこまでプラットフォーマーが責任を取るべきかという話なのですが、苦情が多いため『アマゾン』も対応に苦慮しており、中国の販売業者をブロックする措置を選択しているというわけです。
この『アマゾン』の措置は、取引が遮断された業者から悲鳴が上がっていると中国では報じられています。
内需では回らないので悲鳴が上がる
2021年07月16日の『Voice of America』によると、取引が遮断された(合衆国・イギリス・欧州)と確認されているeコマース企業の中には、『傲基(AUKEY)』『安克(ANKER)』『通拓(TOMTOP)』『泽宝(SUNVALLEY)』『帕拓逊(PATOZON)』の「深センクロスボーダー五虎」(深圳跨境五虎)と呼ばれる有力な通販業者が含まれているとのこと。
電子機器、家庭用健康器具、衣料品、美容品など多くのカテゴリーが対象となっています。
なぜ悲鳴が上がっているかというと、中国内ではまさに安価な物しか売れず、需要が非常に弱いからです。つまり、『アマゾン』が遮断した合衆国・イギリス・欧州の市場に頼って商売をしていたのに、これが封鎖されると困ったことになるのです。
かといって、偽物や粗悪品を販売されても困ります。『アマゾン』の措置は消費者保護の観点からいって妥当なものといえるでしょう。
中国は景気回復が著しいと世界に向けて喧伝していますが、工業生産の回復に比較して内需について疑問符がつくのは、このような一件をとっても分かります。昨年、習近平総書記は「中国を内需で回る国に」と述べたことがありますが、それは遠い目標です。
(吉田ハンチング@dcp)