アメリカ合衆国、イギリス、オーストラリアの新たな軍事協定『AUKUS(オーカス)』が注目されています。
南シナ海での中国の横暴を封じるために、アメリカ合衆国とイギリスはオーストラリアに原子力潜水艦を配備するのを支援するとしました。
これによって、オーストラリアはフランスと共同開発するとしていた通常動力型潜水艦12隻ではなく、合衆国・イギリスと共同開発する原子力潜水艦8隻を導入することになると見られます。
フランスとの契約の全面破棄です。
500~900億オーストラリアドル(約3兆9,960億円~約7兆1,928億円)という巨額の契約破棄なのでフランスは当然ながら怒り、駐米・駐豪大使を召喚するという措置を直ちに取りました。
で、興味深いことが起こりました。
2021年09月17日、フィリップ・ルポル駐韓大使が武官同席の下、ソウル市で記者会見を開き、今回の契約破棄のついての説明を行いました。しかし、力点はそこではなく、フランスの武器(および技術)を調達しませんかという働きかけでした。
韓国メディア『亜州経済(韓国版)』の記事から駐韓大使の発言部分を以下に引用します。
「フランスは韓国と核廃棄物再処理技術等の取引・協力を真に望んでいる」
(ただし「これは民需用だ」と一線は引きました)「フランスは軍事技術でも原子力潜水艦と空母建造までの全ての技術を持っている国」
「原子力潜水艦に関するすべての技術を持っている国はフランスとアメリカだけだ」
「原子力潜水艦から空母まで合衆国の技術はいずれも必要ない」
⇒参照・引用元:『亜州経済(韓国版)』「『原子力潜水艦・空母、米の技術は必要性ない』…フランス、韓国と国防協力意向を示唆」
明らかに売りこみです。合衆国はフランスに事前に交渉を全く行っていなかったため、フランスの猛反発に慌てたアントニー・ブリンケン国務長官は「フランスは重要な同盟国」と表明し、火消しに努めています。
約4~7兆円もの商売を台無しにされたのですからフランスが怒るのも無理はありません。
合衆国とフランスの亀裂が韓国への余波となって表れました。いわば玉突き事故です。
(吉田ハンチング@dcp)