2021年第3四半期の業績が出そろいましたので、まだ嵐の中を飛んでいる韓国LCC(格安航空会社)の業績を見てみましょう。以下の4社は株式を上場しているLCCです。
2021年第3四半期
●『済州(チェジュ)航空』
総売上:682億ウォン(約66億円)
営業利益:-913億ウォン(約-89億円)
当期純利益:-830億ウォン(約-81億円)●『ティーウェイ航空』
総売上:530億ウォン(約51億円)
営業利益:-390億ウォン(約-38億円)
当期純利益:-452億ウォン(約-44億円)●『ジンエア』
総売上:606億ウォン(約59億円)
営業利益:-445億ウォン(約-43億円)
当期純利益:-589億ウォン(約-57億円)●『エア釜山』
総売上:399億ウォン(約39億円)
営業利益:-513億ウォン(約-50億円)
当期純利益:-1,041億ウォン(約-101億円)4社合計
総売上:2,217億ウォン(約215億円)
営業利益:-2,261億ウォン(約-219億円)
当期純利益:-2,912億ウォン(約-283億円)⇒データ引用元:『韓国金融監督院DART』公式サイト
上掲のとおり、LCC4社は第3四半期も全て赤字となりました。4社合計の純損失は約3,000億ウォンにも上ります。
営業利益では、『ジンエア』だけが前年同期比で赤字幅が「47億ウォン」減少しましたが、残りの3社は以下のように赤字幅が拡大しています。
-701億ウォン ⇒ -913億ウォン
●『ティーウェイ航空』
-310億ウォン ⇒ -390億ウォン
●『エア釜山』
-425億ウォン ⇒ -513億ウォン
この中でも特に『エア釜山』は当期純利益で赤字が「738億ウォン」(約72億ウォン円)も拡大しています。
先にご紹介したとおり、無償減資だ、有償増資だと生き残りを図ってキャッシュを手に入れようとしていますが、この業績のママではキャッシュが尽きる心配はなくなりません。
ザルで水を汲むようなもので、いくら有償増資を行っても出ていく方が多いのでいつまでも経営危機から脱することができません。
韓国政府が「ウイズ・コロナ」に舵を切って、人の移動がより自由になればLCCの業績も戻るのではないか、と期待されていたのですが、新規感染者の数が高止まって減少せず、またK-防疫が厳しくなるという観測が出ています。
⇒参照・引用元:『Reuters』「COVID-19 TRACKER」
上掲は『Reuters(ロイター)』の提供する韓国の新規感染者、死亡者数ですが、とても「ウイズ・コロナ」で大丈夫のようには見えません。これでまた「ウイズ・コロナは止めます」なんてことになると、LCCの業績はさらに悪化するでしょう。
さらに(よせばいいのに)破綻したLCC『イースター航空』の回生手続きが進んでいます。そもそもが過当競争の韓国LCCで、コロナ禍によってどこも青息吐息なのに破綻した企業をまた競争のただ中に戻そうというのです。
世界各国で航空旅客産業は大変なダメージを受けていますが、韓国もその例にもれず大変な経営難の状況が続いています。
(吉田ハンチング@dcp)