ウォン安が急速に進行しており、韓国の通貨当局も手が付けられないような状況になっています。こうなると口先介入など効き目はありません。
これは、もちろんアメリカ合衆国で2022年05月03~04日で予定されている『FOMC』(Federal Open Market Committeeの略:連邦公開市場委員会)での衝撃を取り込むための動きです。市場というのは、あらゆる情報を飲み込んで動き、将来を反映したものになります。
現在、『FOMC』で0.5%どころではなく、一気に「0.75%」の利上げが行われるのではないか、という観測が出ています。
このような情報を取り込んで市場は動いているのです。
韓国メディアでついに『FOMC』に向けて「1ドル=1,260~1,270ウォン」に到達するだろうという予測が出ました。
以下に『ChosunBiz』の記事から一部を引用します。
(前略)
26日、ソウル外国為替市場でドルウォンレートは前取引日より0.9ウォン上がった1250.8ウォンで締め切った。2020年03月24日(1,265ウォン)以来2年1カ月ぶりの最高値だ。
(中略)
外国為替当局が前日の口先介入に乗り出したが、為替レートの上昇傾向を止めることはできなかった。
為替レートが急騰したのは、合衆国が高強度の緊縮政策を推進するという見通しに投資家の安全資産選好心理が高まり、ドル化の勢いが続いたためだ。
(中略)
相次ぐ都市封鎖で今年中国経済成長率が大きく鈍化するという懸念が大きくなり、人民元の価値は落ちている。人民元と同調化現象を見せるウォンも一緒に弱気圧力を受ける形だ。
外国為替市場の専門家は、米国の緊縮基調と中国の景気減速の見通しが噛み合い、ウォン安の流れが当分続くと予想した。
ドルウォンレートが来月02~04日に予定された『FOMC』を控えて1,260~1,270ウォン線まで上がるという観測が支配的だ。
(後略)
『FOMC』、そして中国の人民元安がドルウォンレートに影響を与えていると読んでおり、「1ドル=1,260~1,270ウォン」のラインまでの上昇もやむなしと見ています。
この「1ドル=1,270ウォン」というレートは韓国にとってシャレにならないウォン安水準です。
先にご紹介したとおり、2020年03月、コロナ禍の中で韓国がドボン寸前になったとき、日足ローソク足の実体線での最高値は「1ドル=1,273.00ウォン」でした。
それに迫る水準までいっても仕方がないという話になっているのです。しかも尋常ならざるインフレに襲われているのにウォン安が進行しています。当然これはウォン建ての輸入価格を上げることに直結します。輸入価格の上昇はさらなるインフレを呼びます。
ええ、もちろんマズイ状況です。
(吉田ハンチング@dcp)