韓国が複合経済危機に襲われているという話は、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領はじめ、企画財政部の秋慶鎬(チュ・ギョンホ)副首相兼企画財政部長官、『韓国電力』の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁もしています。
韓国の金融当局は危機感を共有しているわけですが、最も重要なのは輸出入でもうけなければならないのに、それが減少傾向にあることです。
2022年06月21日、韓国の関税庁から「06月の輸出入動向」のデータが公表されました。
2022年06月01~20日
輸出:312億8,300万ドル(-3.4%)
輸入:389億2,500万ドル(+21.1%)
貿易収支(輸出 – 輸入):-76億4,200万ドル※( )内は対前年同期比の増減
2022年01月01日~06月20日
輸出:3,238億9,700万ドル
輸入:3,393億6,600万ドル
貿易収支(輸出 – 輸入):-154億6,900万ドル
大変にまずいことに、06月は20日までの実績で、貿易のもうけを示す貿易収支の赤字が「-76億4,200万ドル」まで膨らみました。
さすがにここまでくると残りの10日間(06月21~30日)で黒字にひっくり返すのは無理です。
また、残り10日間で赤字額がどうなるのかは分かりませんが、このまま「-76億ドル」程度で締まった場合、国際収支統計でも貿易収支が赤転する可能性が高いです。
ということは、経常収支はスレスレの黒字か、下手をすると赤転する可能性があります。2022年06月は危なくなってきました。
輸出増加が鈍化してきた
今回のデータでご注目いただきたいのは、対前年同期比の増減です。
文在寅政権では「輸出が大幅に増加しているので大丈夫」と強弁してきたのですが、上掲のとおり06月01~20日の輸出は「-3.4%」とついに前年同期比割れとなっています。
一方の輸入の方は、「+21.1%」と増加傾向が止まっていません。
このままいくと、韓国にとって最も重要な貿易収支がさらに減るということです。
「輸出が増加しているので大丈夫……」なんて話はそもそもが間違っていますが(利益が減少しているのに輸出増でも仕方がない)、これからは「輸出が増加している」とも言えなくなる可能性が高まっています。
対中国の貿易に危険なサイン
先に対中国の貿易収支が赤転した件をご紹介しましたが、その危険なサインは今回の公表データにも現れています。以下をご覧ください。
韓国の対中国貿易は、輸出で小幅マイナス、輸入は大きなプラスになっています。これまで韓国は対中国貿易で大きなもうけを積み上げてきました。つまり輸入に比べて輸出超過だったわけです。これが逆転するサインが現れています。韓国が対中国貿易で赤字になる可能性を示唆しています。
ともあれ、06月の経常収支にご注目ください(国際収支統計が公表されるのは08月ですが)。
(吉田ハンチング@dcp)