「韓国製品が世界で売れていないじゃないか」という記事が韓国メディア『毎日経済』に出ました。
韓国経済の屋台骨を支える輸出が不調になってきていると指摘する内容です。
記事内で、韓国と日本の「輸出金額の対前年同月比増減」推移をグラフにしており、これが大変に興味深いものとなっています。
ただし、記事内のグラフは残念ながら通関ベースの輸出金額を基にしています。これを経常収支に直結する国際収支統計の輸出金額(Goods)の方で同じようにグラフ化してみました。以下をご覧ください。
↑韓国・日本とも国際収支統計ベースの輸出金額(Goods)からグラフ化。
韓国の青の線にご注目ください。
2022年01月は、2021年01月と比較して輸出金額は「+20.1%」、02月は「+19.1%」と順調に「対前年同月比2割増し」で推移していたのですが、05月の「+20.5%」の後、「06月:+9.1%」と急激に落下しました。
以降も「07月:+6.4%」「08月:+7.7%」。
対して、日本のオレンジの線は韓国のように急減せず順調。輸出金額が対前年同月比を上回っています。
01~08月の韓国の輸出金額の「対前年同月比の増減」は平均「13.9%」、日本は「18.9%」です。
韓国は、06月に急減したので平均の増減で日本と差がつきました。
韓国の屋台骨を支える輸出は2022年06月に明らかに変調を来たし、伸ばせなくなってきているのです。
『毎日経済』の記事は以下のように書いています。
(前略)
ウォンの価値が下がれば世界市場で価格競争力が高くなり、輸出に役立つと考えてきた。誤算だった。
兆しはすでに現れた。
前年同期比輸出増加率が今年に入って急速に鈍化してきた。年初だけでも毎月20%前後の増加傾向を見せると、6月に1桁に落ち、その後不振を免れていない。
(中略)
輸出不振は、私たちの内部ではなく外部から生じる問題と解釈されるかもしれない。
しかし、隣国の日本の輸出を見ると余裕をもっているように見える。類例のない好況で時間が経つにつれて急増している。
自動車、石油化学、電子、鉄鋼など主要製造業が根幹であり、自国貨幣価値が急落するなど類似点が多いが輸出は正反対の結果だ。
(後略)⇒参照・引用元:『毎日経済』「『韓国産』が売れない」
「誤算だった」と嘆いていますが、この記事の書き手は、今回の韓国の経済困難の急所を突いています。Money1でも先にご紹介したことがありますが、今回のウォン安進行が過去の危機時と違うのは、
・ウォン安が経済の屋台骨を支える貿易黒字に寄与しない
という点です。これまでウォン安は韓国の貿易黒字の拡大に大きな威力を発揮しました。以下の記事でもご紹介したとおり、それは1997年のアジア通貨危機、2008~2009年の韓国通貨危機時のドボン騒動から、韓国を急速に回復させる原動力になったのです。
ところが、今回のウォン安は進行を止められませんし、貿易黒字は減り続けています。上掲のとおり、肝心要の輸出の伸びも衰微傾向にあるのです。
なぜ韓国の輸出は衰微傾向にあるのでしょうか。長くなるので端折りますが、理由の一つは他ならぬ日本にあるものと考えられます。
――というわけですので状況としては四面楚歌です。
(吉田ハンチング@dcp)