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韓国が「中国のガリウム・ゲルマニウム規制」に騒がない理由

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中国が2023年08月01日から「ガリウム、ゲルマニウムに輸出厳格化」を開始します。

「自由主義陣営国 vs 中国」の半導体戦争が激化する中、資源大国である利点を利用して相手を掣肘しようという一手です。

「半導体強国と自画自賛する韓国ですが、先にご紹介したとおり、さほど騒ぎにはなっていません。Money1でもご紹介したとおり、産業通商資源部も「中長期的は影響はあるかもしれないが、短期的には懸念するに当たらない」と、極めてスルー色の強いプレスリリースを出しています。

実は、これには理由があります。

韓国メディア『毎日経済』が記事にしていますので、以下に該当部分を引用してみます。

(前略)
中国のガリウムとゲルマニウムは世界供給量のそれぞれ94%83%を占めています。中国の影響力が絶対的なレベルと言えます。

しかし、このような巨大なシェアにもかかわらず、このような業界の最初の反応は「どうだろう」というものでした。

事実、ガリウムとゲルマニウムは現在、韓国の半導体主要工程で直接使用されていないからです。

半導体業界の関係者は「韓国の半導体企業がガリウムやゲルマニウムを直接購入する量はほとんどない」とし、「協力業者を通じた間接的な流入の場合も、その割合は大きくない状況」と説明しました。

もちろん、ガリウムは次世代半導体に多量に使われる予定です。

『サムスン電子』の場合、2025年からガリウム基盤の半導体委託生産(ファウンドリー)市場に参入すると明らかにしましたが、需給に問題が発生した場合、注文が入っても量を合わせることが難しくなる可能性があります。

しかし、これは文字どおり2025年以降の「次世代」の話です。
(後略)

⇒参照・引用元:『毎日経済』「中 ‘공포탄’ 발사 이어 ‘실탄’도 쏠 태세…한국은 ‘찐’ 준비했다는데 [위클리반도체]」

直接購入がほとんどないので大丈夫だろう――と見ているわけです。

先にご紹介したとおり、今回の輸出厳格化は、対中国輸出管理強化施行をを07月23日に控えた日本を狙ったものと見て間違いありません。

しかし、韓国も安閑としている場合ではないのです。

同記事では、韓国政府は中国による次弾を恐れていると書いています。以下のような具合です。

(前略)
政府や業界は、中国が持っている本当のカードは「希土類」だと考えています。

希土類は半導体生産用の研磨剤、排ガス用触媒、蛍光体製造などに主に使用されます。

産業通商資源部によると、2021年時点で電気自動車などに使われる永久磁石用希土類の中国輸入依存度は86%です。半導体生産用の研磨剤として使われる希土類も54%で、半分以上が中国から輸入されています。

中国の希土類圧迫は今に始まったことではありません。 中国は2010年の尖閣諸島領有権紛争時に日本への希土類輸出を規制し、外交兵器として初めて希土類を使用しました。

2019年にも米国のファーウェイ制裁に対する対応カードとして希土類輸出規制の可能性を検討しました。 その後、中国は希土類製造会社をまとめて体格を大きくし、2020年末には国家安全保障と利益に基づき、希土類輸出を制限できる「出口管理法」(輸出管理統制法)まで作りました。

昨年5月には希土類磁石関連技術と希土類製錬・加工・利用技術を輸出禁止対象に追加しました。

実際、中国の官営紙である『環球時報』は「アメリカ合衆国は中国の警告を聞け」とコラムを通じ、希土類まで輸出統制がさらに進む可能性を示唆しました。
(後略)

⇒参照・引用元:『毎日経済』「中 ‘공포탄’ 발사 이어 ‘실탄’도 쏠 태세…한국은 ‘찐’ 준비했다는데 [위클리반도체]」

というわけで、韓国は直接流入量が多い「希土類」にまで輸出の厳格化が進むことの方を恐れているのです。しかし、日本は世界的な素材・部品・装備の供給元です。

今回の「ガリウム・ゲルマニウムの輸出厳格化」によって日本が困れば、素材・部品・装備のユーザーである韓国も結局困ることになるのです。あまり安閑としていられることはないのではないでしょうか。

(吉田ハンチング@dcp)

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