先にMoney1でも少しご紹介しましたが、南シナ海、Second Thomas Shoal(セカンド・トーマス礁:仁愛礁)において、中国とフィリピンが激突している件です。
上掲が、いわゆる仁愛礁の位置です。中国は勝手に「九段線」なるものを引いて、仁愛礁も中国の領海内だと無茶な主張を行っています。
この主張は、2016年07月12日、ハーグに設置された南シナ海仲裁裁判所の判決によって否定されています。にもかかわらず、中国はこの判決を完全に無視。
Money1でもご紹介したとおり、仁愛礁を中国に盗まれないように、1999年、フィリピンはここに第2次大戦当時の古い揚陸艦「シエラマドレ」を座礁させ、領有権主張のために小規模の海兵隊守備隊を駐留させています。
↑座礁したシエラマドレ。ここを駐屯部隊の前哨基地として使っている。そのため補給は不可不。その大事な補給を中国の沿岸警備隊の艦艇が放水して妨害した
2023年08月05日、中国の海警局の船が駐留部隊への補給を行おうとしたフィリピンの補給艦に対して放水攻撃を行いました。国際法上の約束を守らない中国に対して、世界中から批判が高まっているのです。
放水事件後、中国メディアは、事件の背後にはアメリカ合衆国がいるとして非難。中国への批判を回避しようという卑劣極まりない言説です。
また、中国の王毅外相はシンガポールとマレーシアを訪問した際に、合衆国を指弾し、合衆国と同盟国が自らの政治的利益のために中国とフィリピンの関係を意図的にかき乱していると批判。中国-フィリピン間に存在する相違に適切に対処するために二国間対話を開く意思があると述べました。
その一方で、中国側は座礁艦「シエラマドレ」を解体して運び去ろうという動きも見せています。
しかし、フィリピンも中国の無法に屈してはいません。
フィリピン沿岸警備隊(PCG)のジェイ・タリエラ報道官は「フィリピン側にとって中国沿岸警備隊とのホットラインはあまり実質的な利益をもたらさず、利益を得られなかったため利用をやめた」と述べています(『CNN』の報道による)。
無法者・中国と話し合っても無駄だ、とホットラインを切断したというのです。
フィリピン軍のメデル・アギラール報道官は「中国が仁愛礁付近に座礁した軍艦を強制的に解体する場合、フィリピンは必要な軍事的自衛措置を取るしか『選択肢はない』」と述べています。
台湾も危惧すべきですが、中国とフィリピンの間で武力衝突が起こる可能性があります。
今日の仁愛礁は明日の尖閣です。日本も他人事ではありません。
(吉田ハンチング@dcp)