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韓国「対外純債権」はずんずん減少している。1,462億ドルも減った。約3割減!

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2023年08月22日、『韓国銀行』が2023年第2四半期時点での「International Investment Position」(対外資産負債残高:略称「IIP」)を公表しました。

IIPは、その時点での対外資産、対外負債の残高と示す非常に重要なストックの統計です。国際収支統計はある期間での収支を示すフローのデータですが、ストックを見たければIIPを確認しなければなりません。

簡単にいえば、外国との取り引きにおいて――「これだけ売って、あれだけ買いましてん。そのイッテコイの収支がコレですわ」が国際収支統計、「で、ナンボあんねん」がIIP――です。

資産と負債と純資産

まず韓国メディアでも誇らしく取り上げられることの多い「(対外)資産」と「(対外)負債」から。

⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「International Investment Position(Q2 2023)」

資産から負債を引くと「対外純資産(Net-IIP)」です。これがプラスかマイナスかで国の安定度は全然違います。プラスであれば、負債を資産で返してもまだ資産が残りますので。

対外資産は「2兆2,251億ドル」で、対外負債は「1兆4,611億ドル」ですので、純資産は「7,640億ドル」になります。資産の方が大きいので、2023年第2四半期時点でも純資産国です。

対外純債権はずんずん減少している

面白いのは「対外債権(External Assets)」と「対外債務(External Debt)」および「対外純債権(Net External Assets)」です。以下をご覧ください。

⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「International Investment Position(Q2 2023)」

対外債権(External Assets)は、韓国が外国から取り立てることのできるお金です(外国 ⇒ 韓国)。

対外債務(External Debt)は、逆に、外国が韓国から取り立てることのできるお金です(韓国 ⇒ 外国)。

対外純債権(Net External Assets)は「債権 – 債務」で求めます。プラスなら債権の方が多く、マイナスなら債務の方が多いことになります。これもプラスとマイナスで大違いです。

マイナスの場合には、外国への債務返済に債権を全部使っても足らないことになるからです。

上掲のとおり、韓国の対外純債権は「3,538億ドル」です。つまり、韓国は純債権国で、外国から取り立てることができるお金の方が多いのです。

これで韓国は「大丈夫だあ」となるかというと……以下をご覧ください。対外純債権の金額の推移です(2006年第4四半期~2023年第2四半期)。

⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「International Investment Position(Q2 2023)」

韓国の対外純債権は減少傾向にあります。ピーク時には5,000億ドル近くあったのですが、2023年第2四半期現在「3,538億ドル」ですから、「-1,462億ドル」、約29.2%も減少しました。

3割減です。

面白いのは、2008年第4四半期にはわずか「277億ドル」まで減少した点です。そうです。韓国がドボン騒動を起こした「韓国通貨危機時」です。

このときは、対外債務の方が大きくなるかも、という瀬戸際だったのです。

対外純資産が減少している理由は、以下の推移を見れば明らかです。

上掲のとおり、対外債権(External Assets)が減少して伸びなくなり、対外債務(External Debt)は増えているからです。

なぜShort-term external debt ratioを改善できた?

対外債務という点で面白いのは、「Short-term external debt ratio」です。

これは、外貨準備高と比較して、短期債務が何%を占めるのかを表したものです(「短期債務 ÷ 外貨準備高」で求めます)。なぜこのような比を求めるのかというと、金融危機を迎えないか、その安全性を見るためです。

短期債務は1年以内に返済しなければなりませんので、一気にさあ返せ、今返せという非常事態になったとしても、その金額が外貨準備高よりも小さいのであれば、返せると見込めるからです。

上掲のとおり、「Short-term external debt ratio」は2023年第2四半期時点で「38.4%」。

つまり、1年以内に返済しなければならない短期債務は、外貨準備高の38.4%約4割に収まっていることになります。

前期、すなわち2023年第1四半期にはこれが「40.8%」でした。

なぜ38.4%に減少できたかというと、上掲のとおり前期から「118億ドル」も短期債務が減ったからです。

対前期で46億ドルも外貨準備高が減少したにもかかわらず、「Short-term external debt ratio」が改善されたのはこれが理由です。

しかし……です。

債務全体は前期から1億ドル増えています。短期債務は「-118億ドル」ですが、長期債務が「+119億ドル」ですので、差し引き1億ドル増加したのです。

韓国にとって100億ドルの増減は大きい金額です。短期債務から長期債務に借り換えてるのではないのか、という話です。

(吉田ハンチング@dcp)

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