2024年02月14日、『上海链家研究院』は報告書で、2024年01月の上海市の「新築商業施設の取引」について、以下のように書いています。
新築商業施設
取引件数:3,786件
(対前四半期比:-44%)
(対前年同月比:-55%)取引額:290億元
(対前四半期比:-47%)
(対前年同月比:-58%)取引1件当たりの平均総価格:764万元
(対前四半期比:-6%)
(対前年同月比:-7%)1平方メートル当たりの平均価格:6万6,375元
(対前四半期比:-5%)
(対前年同月比:-6%)
そもそも不況の嵐が吹きすさぶ中国・上海において、新規の商業施設取引があるというのが凄いですが、対前年同期比で、取引件数は55%減少し、取引額は58%も減少しています。
中国で最も富んだ街といわれた上海も、もはや見る影もない落ちぶれ加減です。その上、「景気が悪い」などと口にすることも許されていません。
習近平が本気をだせばもっと酷いことになる!
『Radio Free Asia』が中国不動産市場の低迷と行く末について、アメリカ合衆国在住の評論家・任松林さんの意見を紹介しているのですが、これが大変面白い内容です。
任さんは以下のように述べています。
「(前略)最悪の状況は、毛沢東時代に戻って私有財産を廃止することだろう。
結局、国家が全財産を引き継ぎ、家屋を平等に分配することになり、銀行も国民に金を要求しなくなる。
中国では国民の50%以上が財産を所有しておらず、このような政策が国民の大多数、少なくとも家を持っていない人々に支持されることは不可能ではない」
物件の私的な保有を認めないようになって、中国共産党が家を分配することになるのではないか、というのです。無茶苦茶な話ですが、それでも国民を押し切れるのではないかとも読んでいます。なんの資産も持たない人が50%いて、その人たちが賛成するだろうから――というのが理由です。
この任さんの意見には、ある程度説得力があります。
なぜなら、習近平と愉快な仲間たちは、もうその準備を始めているからです。
Money1でも以下の記事でご紹介しましたが、国務院が出した「14号文書」というのがそれです。
国民に対する「お前らは国が造ったマンションに住め」という指導で、これを押し進めれば、
・不動産市場の崩壊
・不動産企業の倒産
が促進されます。不動産の価格や流通を全て国が管理するので、市場が存在し得ないですし、民間の不動産企業もあり得ません。全部が吹き飛ぶのです。
日本人は、いや世界は、習近平という人物が何をしようとしているのか本当に理解しているでしょうか。習近平と愉快な仲間たちは、自由主義経済に対する「反物質」みたいな人々なのです。
つまり、現在中国が陥っている泥沼など、まだ入口に過ぎません。習近平と愉快な仲間たちが、14号文書の内容を、本腰入れて推進し始めたら、もっとひどいことになります(ただし本気で始めたら……です)。
「みんなで(私有財産のない)ビンボになりましょう」なのですから。
(吉田ハンチング@dcp)