中国は景気が悪く、回復しません。中国の金融当局が景気対策でお金をじゃぶじゃぶ供給しているのですが、まいてもまいても上向かないのです。
「履いても 履いても すぐとれる♪」という歌がありますが、まさにコレ。「がんばらなくっちゃー♪」なのも同じです。
中国のマネー供給量は異常の域に達しています。
2024年04月の最新データによると、中国のM2は「301兆2,000億元」です。
※「M2」はマネーストックの指標の一つで、簡単にいえば市中のお金がいくらあるのかを示しています。「広義の流動性」といわれることもあります。
アメリカ合衆国のM2は「20兆8,400億ドル」です。日本は「1,260.1兆円」、EU(ユーロ圏)は「15兆1,400億ユーロ」です。
全部ドル建てにして比較すると、以下のようになります。
直近M2の比較
中国:約41.6兆ドル
アメリカ合衆国:約20.8兆ドル
EU:約16.4兆ドル
日本:約8.1兆ドル
合衆国、EU、日本を合算すると「45.3兆ドル」ですから、中国のM2は世界の経済大国(エリア)を足したものに匹敵するだけお金をまいていることになるのです。
アメリカ合衆国:27.4兆ドル
中国:17.7兆ドル
GDP比で考えてもこれは異常なお金の量です。中国のGDPは合衆国の約64.6%です。にもかかわらず、M2は合衆国の2倍もあるのです。
中国では異常なほどマネーの量が増加しいるのですが、お金の量が増えると物の価値が上がってインフレが進むはずです。中国はなぜ高率のインフレにならないのでしょうか?
まず以下をご覧ください。2022年末(12月)から2024年04月までのM2とCPI(インフレ率)の増減の推移を月次で見たグラフです。
2022年12月(266.43兆元)から2024年04月(301.19兆元)までM2は約35兆元も増加しています。13%の増加です。
しかし、驚くべきことにCPIの方は1%を超えて上がった月などほとんどないのです。
読者の皆さまもご存じかと思われますが、中国では「乞食ご飯」といわれる安価な定食が流行の兆しがあります。かつて日本でもあった牛丼290円みたいな話で、要はデフレ傾向も見えるぞ――というわけです。
――で、元の疑問に戻ります。
これだけマネーの量が増加しているのに、なぜ中国は高率のインフレにならないのでしょうか?
この項つづく
(吉田ハンチング@dcp)