韓国経済の「どうしようもない現状」の続きです。今回は、韓国経済の問題点と指摘される「家計債務」についてご紹介しましょう。2015年にマッキンゼー(経営コンサルタント会社として世界的に有名な会社です)が、持続不可能なほど個人債務残高(家計債務)が膨らんだ国として7カ国を挙げました。韓国はその中に入っており、その状況は今も変わっていません。
■「家計債務」とはナニか!? 国民の借金が国家予算の3.5倍!
簡単に言えば、家計債務とは「国民(世帯)が抱える借金の合計金額」です。韓国銀行のデータによれば2016年には家計債務が屋約1,344兆ウォンに達しています。ざっくり「1ウォン = 0.1円」で計算すると「約133.4兆円」になります。
これは尋常な数字ではありません。韓国の国家予算は2016年には「386兆3997億ウォン」ですから、前記同様に計算すれば「約38.6兆円」。
国家予算:約38.6兆円
家計債務:約133.4兆円
国民が抱える負債、つまり借金が国家予算の「約3.5倍」もあるのです。しかもこの家計債務はすごい勢いで増加しています。同じく韓国銀行のデータから見てみます。
■韓国の家計負債の推移
2013年:1,019.3兆ウォン
2014年:1,085.3兆ウォン
2015年:1,203.1兆ウォン
2016年:1,344.3兆ウォン
上記の「1ウォン = 0.1円」のざっくりレートで計算しても、
2013年 ⇒ 2014年 6兆6,300億円増加
2014年 ⇒ 2015年 11兆7,800億円増加
2015年 ⇒ 2016年 14兆1,200億円増加
この4年だけとっても著しく増加していることが分かります。つまり、韓国では国民がすごい金額の借金をかかえ、しかも恐ろしいことにその借金が増え続けているのです。家計債務が増加し続け、その借金を返済できなくなったらどうなるでしょうか? もちろんデフォルトです。国民の大量デフォルトが発生したらまともな経済状況が維持できるわけはありません。経済のカタストロフ、破滅です。
では、この状況を新大統領はどうにかできるのでしょうか? 中世の専制君主のように、例えば、借金を棒引きにする徳政令を出すと問題は解決するのでしょうか? 新大統領が徳政令をちらつかせた瞬間に、金融機関は「貸し渋り」と「貸し剥がし」へと動くでしょう。借金の回収のため、国民の持つ金融資産をできる限り剥ぎ取り、新規貸し出しを極端にまで絞る。そうしないと金融機関が生存できないからです。当然、その中で金融機関も多数デフォルトするでしょう。すると、やはり経済のカタストロフ、破滅です。
新大統領には「どうしょうもない状況」なのです。
ちなみに、新大統領になった文在寅(ムン・ジェイン)は、大統領選前の2017年03月16日に「家計債務人口約1,800万人のうち、低所得、低信用、多重債務者で返済能力が非常に不足する260万人を支援する」と述べています。つまりこの260万人に「徳政令」を出すつもりとも受け取れます。さて実際に大統領となったわけですが、どうするでしょうか?
ジョン・カーペンター監督の傑作『遊星からの物体X』のラストシーンから名台詞を引いておきましょう。
「ここに座って、しばらく待ってみようか。何が起こるかを……」
(高橋モータース@dcp)