韓国の精油企業の業績が第2四半期も悪く、業界をどんよりさせています。
精油産業は、韓国の輸出の一角を担っており、重要な輸出品目の中に「石油製品」も入っています。
しかし、今回の新型コロナウイルス騒動で韓国の精油企業は大きな打撃を受けているのです。なにせ、韓国を代表する精油企業4社の「2020年第1四半期の決算」は以下のように壊滅的なものでした。
韓国精油企業4社の2020年第1四半期の営業利益
『SKイノベーション』▲1兆7,752億ウォン
『S-Oil(エスオイル)』 ▲1兆73億ウォン
『現代Oilbank(オイルバンク)』 ▲5,632億ウォン
『GS Caltex(カルテックス)』 ▲1兆318億ウォン小計:4兆3,775億ウォンの赤字
第2四半期の結果は以下のようになりました。
韓国精油企業4社の2020年第2四半期の営業利益
『SKイノベーション』▲4,397億ウォン
『S-Oil(エスオイル)』 ▲1,643億ウォン
『現代Oilbank(オイルバンク)』 132億ウォン
『GS Caltex(カルテックス)』 ▲1,333億ウォン小計:▲7,241億ウォンの赤字
※▲はマイナスの意味
「4兆3,775億ウォン」から「7,241億ウォン」と大きく減りはしましたが、なお巨額赤字なのは確かです。
「精油マージン」が回復しないので第3四半期もダメっぽい!
また、製油業界が暗いのは「精製マージン」が回復しないからです。韓国の精油会社は精油マージンが4ドルないと黒字にならないといわれているのですが、とてもではありませんが、それには遠く及びません。
本件を報じた韓国メディア『毎日経済』の2020年08月09日の記事から以下に引用します。
(前略)
石油協会の関係者は「昨年末から中国は石油製品の輸出量を増やしているが、最近の洪水で国内市場で販売できなかった物量が国際市場にあふれ出て、石油製品価格の下落の原因となっている」とし「需要はないのに供給が増えながら精製マージンが悪化している」と説明した。また、他の業界関係者も「『先月、ガソリン精製マージンだけ少し上がり、軽油とジェット燃料精製マージンはまだマイナス』と苦しい状況だ」と述べた。
実際、7月にシンガポールの複合精製マージンは、バレル「-0.2ドル」を記録し、6月以降改善されるとの見通しが粉々になった。
業界によると、中国国営石油会社は、7月に120万~130万tのガソリンを輸出したと見られる。
これは、6月の輸出量より10%ほど増加した数値だ。
8月にも、国際市場に石油製品があふれるようになると精製マージン回復には予想より多くの時間がかかることになる。
(後略)⇒参照・引用元:『毎日経済』「精油業界『危機脱出遠かった…税制の改善を』」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
中国が、洪水によって国内で消費できなかった石油製品を国際市場に放出しており、これも石油製品価格の下落を引き起こす原因になっているとのこと。製品がじゃぶじゃぶあふれているので精油マージンも上がらない、というわけです。
すでに第3四半期もほぼ半ばまできましたので、韓国の精油会社の業績は第3四半期もダメっぽいです。韓国の輸出にもマイナスのインパクトを与えるでしょう。
(柏ケミカル@dcp)