韓国で「後進国型マンション崩壊」と怒りの声。時価総額「5,676億」蒸発

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先進国とか後進国とかいわなくてもいいのでは――という話です。

念のために冒頭でお断りしておきますが、記事タイトルにある「後進国型」というのは筆者が言っているのではありません。

読者の皆さまもすでにご存じかと思いますが、韓国光州で建設中の39階建て高層マンションの上層階が崩落するという信じられないような事故が起こりました。

↑事故を報じるYouTube『ANNnewsCH』。6人の方がいまだ行方不明のままです。13日午前中に一人の遺体が見つかったのですがまだ身元確認が取れていません

驚くような崩壊の仕方ですが、韓国メディア『中央日報』に「後進国型『光州アパート崩壊』責任を厳重に問う」という記事が出ているのです。

今回の事故は、韓国では大きな衝撃を持って報じられています。

この高層マンションの建設を手掛けているのは韓国『HDC現代産業開発』です。この会社は2021年06月、同じ光州市でビルを解体中に崩落事故を起こしています。日本メディアでも大きく報じられたので記憶している方も多いのではないでしょうか。

↑事故を報じるYouTube『ANNnewsCH』。この事故では走行中のバスにビルが覆い被さるように崩壊しました。

Money1を長く読んでいだだいている方なら、「あれっ。『HDC現代産業開発』ってどこかで聞いたような……」と思われるかもしれません。

そうなのです。2019年に事実上破綻した『アシアナ航空』を買収するといい、MOU(Memorandum of Understandingの略:基本合意書あるいは了解覚書)まで交わしたのに、2020年コロナ禍で景気が悪くなったので手を引いた会社です。

『HDC現代産業開発』への猛烈な非難

2021年06月のビル解体事故に際には、文在寅大統領が「原因を徹底的に解明して、責任を追及せよ」と言明していましたが、今回また同じ会社が担当する現場で事故が発生したということで、韓国では『HDC現代産業開発』に対して猛烈な批判が湧き起こっています。

2022年01月12日、高層マンションの崩落事故を受けて、光州市は市内で進行している『HDC現代産業開発』が担当している開発案件の全てについて停止命令を出しました。

また、光州市は「事故が発生した建物を撤去。再施工する案を検討中」と明らかにしました。

光州市のイ・ヨンソプ市長は「今後、光州市が推進する事業に一定期間、『HDC現代産業開発』の参加を排除する案を法律的に検討する」と話しています。

さらに、イ市長は(『HDC現代産業開発』について)「信頼できない、本当に悪い企業」とも述べています。

韓国メディア『中央日報』では「まるで後進国のような事故を起こしたということで、『HDC現代産業開発』のブランドである『アイパーク』の信頼も地に墜ちた」と書いています。

しかし、「後進国的な事故が起こる国」は先進国ではなく、後進国なのではないでしょうか。「後進国だからこそ後進国的な事故が起きる」のでは?

時価総額「5,675億ウォン」が蒸発した

多数の死者を出す事故を起こし続けていますので『HDC現代産業開発』の評価が急速に悪化。株価は一気に暴落しました。以下をご覧ください(チャートは『Investing.com』より引用:以下同)。

今回の高層マンションの崩落事故が起きたのは01月11日。この日の始値は「2万5,550ウォン」でしたが、翌12日には大きくギャップダウンして「2万1,700ウォン」からスタートしました。この時点で「15.1%」の下落です。

14日(金)13:18時点で終値「1万9,250ウォン」ですから、11日の始値「2万5,550ウォン」から「24.7%」の大暴落です。

この大暴落で『HDC現代産業開発』の時価総額は「4,152億ウォン」蒸発しました。

以下は『HDCホールディングス』の株価推移です(チャートは『Investing.com』より引用)。

同様に、今回の高層マンション崩落事故が起こった2022年11日01日の始値は「1万600ウォン」。01月14日(金)12:46時点で終値は「8,050ウォン」なので、「24.1%」の大暴落です。

『HDCホールディングス』の時価総額は「1,523億ウォン」蒸発しました。両社を合わせると「5,676億ウォン」を喪失したことになります。
 
 
というわけで、韓国は大変なことになっています。刑事事件になるでしょうが、民事訴訟もあるでしょうし、株主訴訟が提起されてもおかしくない事故です。

亡くなった方、遺族への補償は当然のことですが、『HDC現代産業開発』は高層マンションを再度更地にして、建て替えを行わなければならないことになりそうです。入居予定者に対して補償金を出さなければならないでしょう。建て替えと補償金で数百億ウォンかかると予測されています。

『HDC現代産業開発』は韓国では業界第9位のディベロッパーなのです。

(吉田ハンチング@dcp)

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