ウォン安が「1ドル=1,270ウォン」まできています(チャートは『Investing.com』より引用)。
上掲は直近までの推移の週足チャート(ローソク足1本が1週間の値動きを示します)ですが、ご覧のとおり、世界的なドル不足でドボン寸前となった2020年03月の水準をローソク足の実体線ですでに超えています。
このウォン安進行を沈静化したのが2020年03月19日にアメリカ合衆国『FRB』(Federal Reserve Boardの略:連邦準備制度理事会)が緊急発表したドル流動性スワップ(韓国側呼称「米韓通貨スワップ」)でした。
・オーストラリア準備銀行:600億ドル
・ブラジル中央銀行:600億ドル
・韓国銀行:600億ドル
・メキシコ銀行:600億ドル
・シンガポール金融管理局:600億ドル
・スウェーデン国立銀行:600億ドル
・デンマーク国立銀行:300億ドル
・ノルウェー銀行:300億ドル
・ニュージーランド準備銀行:300億ドル
※6カ月限定の契約で期限は3度延長され2021年12月末日に終了
ドル不足に陥っていた韓国はスワップライン締結後すぐ04月02日に、
8億ドル(満期7日)
を連銀から調達しました(申請は03月31日)。
このような経緯があったので、ウォン安が急伸している現在、韓国の時期政権で経済副首相兼企画財政部長官に指名されているチュ・ギョンホさんが「(米韓通貨スワップに対して)外国為替市場で肯定的な影響を与えるだろう」「米韓首脳会談で議題に上げるか検討する」などと話しているのです。
『FRB』が現在の情勢で、『韓国銀行』と連銀の間でドル流動性スワップを締結するかどうかは甚だ疑問ですが、合衆国の政策金利の上昇による影響が韓国では大変に懸念されるようになっています(分かっていた話なのですが)。
先にご紹介したとおり、合衆国の金利上昇によって、さらなるウォン安・物価高の進行が予測され、「米韓通貨スワップなしではウォン安がさらに進行するのではないか」と恐れているのです。
その恐れの現れでしょう。とうとうウォンの価値が「1ドル=1,300ウォン」まで落ちるのではないか、という予測が出ました。
韓国メディア『毎日経済』の記事から一部を引用すると以下のような具合です。
(前略)
ペク・ソクヒョン『新韓銀行』エコノミストは「金融市場の下落傾向が外国為替市場にも影響を及ぼし、市場心理が悪化する可能性がある」とし「ドル当たりウォン値の第一次の低点は1,285ウォン、追加の下落が発生すれば1,300ウォンまで行くこともあり得る」と説明した。
(後略)
以下のチャートをご覧ください(チャートは『Investing.com』より引用:日足)。
水色の水平線が「1ドル=1,285ウォン」、赤い水平線が「1ドル=1,300ウォン」です。
2020年03月の危機時も「1ドル=1,300ウォン」に達したことはありません。このような予測が出るほど危なくなってきたというわけです。
(吉田ハンチング@dcp)