2023年01月13日、韓国の企画財政部から「月刊財政動向 2023年01月号」が刊行されました。この中に注目すべきデータがあります。韓国債の発行状況とそのうちの外国人保有比率です。
公表資料の中から以下に表組を引きます。
2022年12月 韓国債※
発行残高:937.5兆ウォン
外国人保有残高:192.9兆ウォン
外国人投資家保有比率:20.5%※これは国庫債券のみ
韓国政府の発行するSecurities(証券類)は以下の4つに大別されます。
Treasury Bill(国庫短期証券)
Foreign Exchange Stabilization Fund Bonds(外国為替平衡基金債券)
NHB-Type1(National Housing Bond:住宅債)
「KTB:いわゆる国債」は、満期までの期間別に○年物と発行されています。中長期で資金を返済するものです。
「TB:国庫短期証券」は満期が1年以内で短期に資金を調達するものです。
「FXSFB:外国為替平衡基金債券」(略称:外平債)は外為市場に介入するために資金を調達するために発行されます。
「NHB-Type1:住宅債」は満期5年・利率1.75%です。
上記の表組にある「国債」はKTBを指しており、中央政府が発行したものです。2021年のホワイトペーパーによれば、2020年のKTBは「726.8兆ウォン」で、外国人投資家の保有比率は16.7%でした。
これが2021年に「19.4%」に上昇※。一気に2.7%も増えました。これはコロナ禍からの経済回復のための資金調達で、外国人投資家の資金に頼ることが多くなったため、と考えらえます。
この増加傾向は2022年も変わらず、外国人投資家の韓国再保有比率はついに「20.5%」まできました。これは企画財政部が自分で書いているとおり、過去最大水準です。
また、これで外国人投資家が持つ保有残高は全てではありません。あの「FXSFB:外国為替平衡基金債券」があります。いわゆる外平債です(外平債は現在では国債の一部に組み入れられています)。
ホワイトペーパーが出るまで中身がどうなっているのか分かりませんが、外国人投資家による韓国債の保有比率が上昇しているのは確かです。
企画財政部は誇らしげに「歴代最高レベル達成」と書いています。確かに国債に資金を投じてくれるのはありがたいことかもしれませんが、外国人投資家に資金調達を依存する度合いが増えてきた――ことを意味します。さあ喜んでばかりいられる話でしょうか。
※ただし暫定の数値。2021年度のデータはこれから確定値が出ます。
(吉田ハンチング@dcp)