念のために冒頭でお断りしますが、筆者が言っているのではありません。
韓国保守メディアの砦『月刊朝鮮』が非常に興味深い記事を出しています。
2023年03月06日、韓国政府が公表した「いわゆる徴用工」問題の解決法について、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領はよく決断した、という内容です。
状況は1965年の朴大統領決断時に似ている
「日本に完敗」「屈従外交だ」「国辱だ」などの声がさっそく野党から挙がり、ネットにも同様の罵詈雑言が満ちています。
しかし、『月刊朝鮮』は、朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が「1965年に締結した日韓請求権」当時に述べた言葉を引いて、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領を称賛しています。
↑朴正煕(パク・チョンヒ)大統領のクーデター当時の写真/前列の左端
1965年の日韓請求権協定が締結されたときも、韓国内には強い批判がありました。
しかし、朴正煕(パク・チョンヒ)大統領は、お金のない韓国の実情をなんとかするため、経済発展の本種を手に入れるため、国の安全保障を確固たるものとするため、日本との協定締結を完遂したのです。
『月刊朝鮮』の記事から引いてみます。
(前略)
「屈従外交」という野党、「未来志向的な日韓関係」を強調し、難しい決断を下す大統領……どこかで見たような姿だ。まさに1960年代半ば、朴正煕政権が日韓国交正常化を推進した当時の姿だ。
日韓会談を「屈辱外交」と反対した国民に対する朴正煕大統領の答えがある。
日韓基本条約をはじめ、日韓国交正常化関連条約が調印された翌日、1965年06月23日に発表した「日韓会談妥結に伴う特別談話」がそれだ。
(中略)
朴大統領は「一民族、一国がその運命を開拓し、前進していくためには、何よりも国際情勢と世界の潮流に適応する決断が必要です。
国際情勢を度外視し、世界大勢に逆行する国家判断が私たちにどのような不幸をもたらさなければならなかったかは、まさに李氏朝鮮末期に我が民族が経験した骨の折れる経験が実証しています」とし、
「今日の国際情勢は、私たちに過去どの時よりも日本との国交正常化を強く要求しています」と力説する。
(中略)
朴大統領は「今日、私たちが対峙している敵は国際共産主義勢力です。
私たちはこの国を誰にも再び奪われてはなりませんが、さらに共産主義と戦って勝つためには、私たちと手を組むことができ、仲間になれるなら誰とでも手を組まなければなりません」とし、
「私たちの自由と独立を守り、明日の祖国のために役に立つことができることであれば、難しいことですが、過去の感情を我慢して洗い流すことが真に祖国を愛する道ではないでしょうか」と訴える。
(中略)
朴正煕大統領が言うこのような国際情勢とは、中国の台頭と米中覇権競争、中国・ロシア・北朝鮮につながる全体主義勢力の連帯など、今日の国際情勢に似ている。
しかし、このような国際情勢にもかかわらず、日韓関係発展の足を引っ張るのはいつも「過去史問題」だった。
朴大統領はこう言う。
「過去数十年間、いや数百年間、私たちは日本と深い恨みの中で生きてきました。
彼らは私たちの独立を抹殺し、彼らは私たちの親兄弟を殺害し、彼らは私たちの財産を搾取しました。
過去だけを考えれば、彼らに対する私たちの恨みは、どのような面から見ても甚だしいものです」
しかし、朴大統領はここで終わらない。
「しかし、国民の皆さん! だからといって、私たちはこの厳しい国際社会の競争の中で、過去の感情だけに執着しているわけにはいきません。
いくら昨日の敵であっても、私たちの今日と明日のために必要であれば、彼らとも手を取り合うことが国民の利益を図る賢明な対処ではないでしょうか」
朴正煕大統領は続いて、過去清算、請求権問題、漁業協定問題、在日コリアンの処遇問題、文化財の返還問題など国交正常化過程での懸案事項について言及し、こう語る。
「もちろん、これらの諸問題が私たちの希望と主張通りに解決されたわけではありません。
しかし、私が自信を持って言えるのは、私たちが置かれている諸条件と先進諸国の外交慣例に照らして、私たちの国益を確保するために善意を尽くしたという事実です。
外交とは、相手がいるものであり、また一方的な強要を意味するものではなく、それは理と条理を相互に納得して初めて妥結するものです」
“外交とは相手がいることであり、一方的な強要を意味するものではなく、それは一と調理を問わず相互に納得をしなければ初めて妥結になること”という言葉が特に注目される。
この基本的な事実さえ忘却している人々が現在でも多すぎるからだ。
(後略)
朴正煕(パク・チョンヒ)大統領は、反共の人でしたし、軍人でしたから合理的に判断できる人でした。なんとしても経済発展の種銭を韓国のために日本から引き出し、すぐ上にできたおっかしな国から自国を守らなければなりませんでした。
さすがの朴正煕(パク・チョンヒ)大統領も、北にある国があれよあれよと言う間に「ドがつく貧乏」で「核ミサイルと飢餓の国」になるとは思ってもみなかったでしょうが。
若い読者の皆さんはご存じないでしょうが、金ちゃんファミリー初代の金日成さんは「国民みなが、白い米の飯と肉のスープを食べられる国にしよう」と言っていたのです。
実に皮肉な現状ですが、それはともかく、上掲の最後の部分はとても大事です。
韓国人は根本的な事実さえ忘れている
外交、そして協定というのは、「一方的な強要」ではなく、「理と条理を相互に納得して初めて妥結するもの」です。
『月刊朝鮮』は、この点について「この基本的な事実さえも忘却している人々が今日でもあまりにも多い」と韓国人を批判しています。
この指摘は真芯を捉えています。
韓国が日本に強要するのは「韓国の言うことを聞け」です。これはアメリカ合衆国相手でも同じで「通貨スワップを締結しなければならない」などといいます。
「理と条理を相互に納得して」が全く抜け落ちています。韓国は交渉を「オレの言うことを聞かせること」「少しでも譲ったら負けだ」だと思っているのです。
この時点でいったい交渉になんの意味があるのか――となるでしょう。
その上、結んだ協定を政権が変わると平気で反故にします。韓国とはとても付き合うことなどできない、となっても当然ではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)