中国が人民元の国際化に一生懸命になっています。たとえアメリカ合衆国と戦争になっても、自国で印刷する通貨で国際取引ができるならドルによって首根っこを押さえられずに済むからです。
デジタル人民元の方にも力を入れており、江蘇省常熟市の地方財政監督管理局と常熟市財政局(国有資産管理局)は「給与の完全デジタル人民元払い実施に関する通知」を発行しました。
同通知によると、常熟市の各級公務員(公務員を含む)、キャリア職員、国有単位の職員に対して、05月から給与の完全デジタル人民元払いが実施されます。
Money1でも少しだけご紹介したことがありますが、2020年04月、中央銀行『中国人民銀行』は、蘇州、成都、深セン、雄安をデジタル人民元の実験を行う最初の4つのパイロットエリアとしました。
2020年05月には、4大国有銀行を通じて給与が支払われている蘇州市湘城区の地方レベルの当局や企業の職員に、給与の50%がデジタル人民元の形で交通補助金として支払われました。
この後、地方政府の機関ではデジタル人民元の導入テストが続々と続きました。
蘇州政府は、04月14日に開催された「デジタル人民元テスト」の第1四半期を総括し、第2四半期を推進する会議で、03月末時点で2023年の蘇州のデジタル人民元テストで累計「809万8000件」の取引が行われ、累計取引額が「1,704億6,700万元」(約3兆3,786.6億円)に達したことを明らかにしています。
やがて、中国全土の公務員の給与がデジタル人民元で支払われるということになるでしょう。
これによってお金を支払うときの匿名性が失われることになります。利便性は確かにあるかもしれませんが、中国というのは監視国家です。自分が何を購入したかを当局に監視されるというのは、いかがなものでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)